先週お身終えた一冊
藤沢周著「世阿弥最後の花」河出文庫刊
https://www.kawade.co.jp/np/search_result.html?goods_flg=1&name=%E4%B8%96%E9%98%BF%E5%BC%A5%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E8%8A%B1
ー都で一世を風靡した男は、72歳で流刑となった
波乱の晩年、その謎と奇跡の物語ー
能楽師世阿弥はなんとなく知っていたが、どんな物語だろう、、
難しそうなことにならなければいいが、、
狂言は好きで見に行く事も多いけれど
能は面の中の声が聞き取りにくいし、
物語がわからないので敬遠気味だった。
時の将軍、足利義教の怒りに触れて
訳もわからずに佐渡に島流しにあった世阿弥72歳
能にのめり込むあまり、息子に厳しくあたり早くに亡くす。
心にしこりを持ったまま、佐渡に渡る。
佐渡の風景やわだかまりのない人々と接するうちに
年相応のひらけた心根を取り戻す。
佐渡の地に怨念として漂う霊
創作能を舞い、日照りに慈雨を降らせ
(雨乞いは旱天に雨が降るまで辞めない、知らなかった)
なぜだか雨が降り村人の信頼をより篤くする。
霊を昇華させ、村人達に能を教え、
鬼の世阿弥(?)から仏の世阿弥に昇華して
静かに別れを告げる、、、
作者の語り口はどこまでも優しく、難なく読み終える。
世阿弥を知った気になる、貴重な一冊です。
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