東亜連盟の生き残りで、福島県議会議員でもあった植田英一氏が「石原莞爾を考える」という冊子を出している。いつ発刊された定かではないが、平成22年1月13日の日経新聞の記事が掲載されており、それほど昔のことではなさそうだ。「はじめに」のなかで植田氏は「私は、石原莞爾先生に傾倒し、先生に直接お会いして話を聞き、著書を読み、先生の示した道標を検証しながら生きてきました」と書いている。敗戦直後に週刊朝日や週刊読売のインタビューに答えた『石原莞爾先生談話集新日本の道標』を再録し、そこに植田氏自身が文章を付け加えたのだった。とくに、私が感銘を覚えたのは、石原が敗戦後の日本の将来を予言した言葉である。「日本は今後物心両面に亘る恐るべき疾風怒涛時代を迎えるのである。アメリカは自己の善とする生活文化、洋式、思想を瀧のごとく如く注いで日本をアメリカ化せんとすることは明らかである」と述べながら、さらに、そこに英国的、ソ連式思想が加わってくるというのだ。そして、石原は「落ちて落ちてどん底に突き当たりどうにもならぬ時に至ってはじめて民族の魂が究極の拠り所を呼び求めるのである」と断じた。植田氏も「日本の姿がなくなった」と悔やんでいる一人である。「神の摂理というべき世界文化の過程を達観する」ことを前提にしながらも、日本人としての使命を再確認する。そこに石原の真骨頂があるのではないだろうか。
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