正直に言えば私も、加藤紘一元自民党幹事長に期待したことがあった。総理大臣にしたいとも思ったが、それは買被りであったようだ。今日の毎日新聞夕刊で、加藤は山崎拓元自民党副総裁と対談し、二人して安倍晋三首相を槍玉に挙げているからだ。加藤が中共のロビイストでなければ、そこまではやれないだろう。尖閣諸島をめぐって、中共が軍事的挑発を繰り返しているのに、どうしてそれに口をつぐむのだろう。かつて自民党には、アジアアフリカ問題研究会とアジア問題研究会の二つが活発に活動していた。前者はハト派であり、後者はタカ派と評された。加藤の属したアジアアフリカ問題研究会が中共の言うままであったために、結果的に日本が窮地に追い込まれたのではないだろうか。毅然と国家として身構えなかったことで、中共に甘く見られてしまったのだ。加藤は60年安保騒動の世代である。デモにも参加したことがあるようだ。カラオケで歌うのは、「『イチゴ白書』をもう一度」と聞いている。戦後民主主義にこだわるのは、そうした個人的な体験もあるのだろう。しかし、それは日本を愛することではない。拉致被害者が帰国したときにも、北朝鮮に帰すべきだ、と主張したのは、自民党では加藤くらいであり、許せない暴言であった。私はTBRビルの加藤を訪ねたことがある。忙しそうに電話をしていたのが印象に残っている。あれから20年近い歳月が経った。加藤は小沢一郎と一緒で、もう過去の人なのである。
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