民主党政権下での東日本大震災のときには、中共に気兼ねをして台湾からの救助隊に嫌がらせをした。東アジア共同体を提唱しながらも、あくまでも中心は中共や朝鮮半島であった。台湾の独自性にこだわる民進党についてはまったく無視であった。それなのに民主党は新しい党名として民進党を選んだのである。昨日の朝日新聞ですら、台湾の人たちに反発があることを記事にしていた▼民主党は表紙をかえるよりもリベラルの旗を掲げるべきであった。党名は今のままでよかったのである。全体主義の共産党とは一線を画し、民主主義の原点に回帰すべきであった。佐伯啓思が述べているように民主主義には弱点がある。それをどうにカバーするかについて議論を深めるべきであった。直接民主主義への傾斜は国家的公共的見地の否定である。ルソーの「一般意志」は容易に「全体意志」となって恐怖政治をもたらすことになる▼リベラルデモクラシーは価値相対主義であることを踏まえつつ、佐伯は他者との絆を確認する公共性を重視した。「民主主義が、『公共的事項』に対して大多数のものが参与するという政治の空間を回復するためには、したがって、何よりまずは、個人の主観を超えた共有価値が存在することを認めなければならない。個々人は、この共有価値にコミットし、また共有価値から行動の指針を受け取ることになる」(『現代民主主義の病理 戦後日本をどう見るか』)と書いていた。個人主義ではなく、公共性に根差した民主主義でなければならない。日本人が培ってきた歴史や伝統が前提でなければならず、民主党は漂流を続けるのはそれを理解できないからなのである。
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