「放送法遵殊を求める視聴者の会」(すぎやまこういち会長)が田原総一朗や岸井成格に公開討論を呼びかけた。放送法をめぐる高市総務大臣の発言を批判した田原らは、当然受けて立つべきだろう。自分たちが正しいと思うのであれば、持論をそこで述べればいいのである▼岸井は同会から出された公開質問状にすら返答していない。テレビでコメントを述べるのは、ある意味では言葉による暴力である。そこでは自制が求められる。とくに放送法は公平な報道をすることを求めており、そこから逸脱するような報道は慎むべきなのである。同会からはケント・ギルバート、上念司、小沢榮太郎が出席する予定で、3対3による討論を提案している▼田中美知太郎は『直言、そして考察ー今日の政治的関心』において、言論が一方に偏することの危険性を説いていた。「我が国の言論界は、戦後なお戦前と逆の方向において、とかく一方的な言論に支配される傾向があり、それも総合雑誌その他においては奇妙なしかたで一方的なので、できるだけこれを多元化することが、わが国の知性を本来の知性に戻すために、さしあたり必要ではないかと思う」▼自由な言論の場があってこそ、国民は自らの考えを取捨選択できるのである。田原や岸井には自分たちが正義であるかのような奢りがある。間違っても尻尾を巻いて逃げることはないと思うので、どうしてそんな主張ができるのかぜひとも聞いてみたい。
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