岡潔の本が静かな人気になっているのだという。朝日新聞が取り上げたのにはビックリした。戦後民主主義に真っ向から反対した岡の本を読んだことがあるのだろうか。憲法改正のことを社内では口にできないのに、よくぞ記事にしたものである▼岡が「終戦後二十二年の世相」を世に問うたのは、占領軍によって日本が骨抜きにされた憤りがあったからだ。押し付けられた憲法によって「日本民族が自分で自分の手足を縛っている」とも評した。日本人は小我を自分だと勘違いし、畜生に堕落したのを嘆いたのである。岡は「真我が自分であって、小我は迷いである。日本国新憲法の前文はまるで間違っている」とまで断言した▼朝日新聞にもまともな記者がいるのだろうか。そうではなくて岡を真に理解していないのだろう。風変りな孤高な知識人として紹介したつもりなのだろう。岡がこだわったのは日本民族の崇高な使命であった。「私は日本民族の歴史は、ににぎの尊依頼十万年は続いていると思われる皇統を中心として、それをめぐる実に美しい情緒の流れだと思う。この民族の詩としての歴史を、遍く日本民族に教えて欲しいと思う」とまで訴えたのである▼世界的な数学者であると同時に、憂国の警世家であった岡は、朝日新聞に代表される戦後民主主義を徹底的に糾弾した。エキセントリックな思想家であったが、今になればその一言一言が腑に落ちる。日本人が岡のいう真我になるためにも、すぐにでも憲法改正に着手すべきなのである。
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