川崎市多摩区での殺傷事件はあまりにも痛ましい出来事であったが、これから我が国が警戒すべきは、敵対国家によるテロ攻撃である。公然と行われる武力の行使とは違って、それは防ぐのが難しい。それだけに、我が国としても万全の態勢を構築しなければならない▼中共で1999年に出版された『超限戦』では、驚くべきことが書かれていた。江畑謙介は『情報と戦争』でその本を取り上げ「国家も自国よりも強大な相手(国家)と戦う場合には、その弱点を突くためにあらゆる方法が使用されてしかるべきだという、ゲリラ戦の思想を国家レベルにまで拡大した考え方」と解説している。著者は喬良、王湘穂という人民解放軍の大佐であった。あくまでも「一般通俗的な読み物」であったが、人口密集地におけるゲリラ戦や、犯罪組織を使ったテロすらも容認したことで、センセーショナルな話題となった▼そんなことをすれば、世界から爪弾きにされるとしても、国家としての体裁をなしていない者たちは、自分の立場を守るためには、手段を選ばないのである。今の中共は軍事大国であり、そこまでする必要はないと思うが、その危険性を秘めた国家があることは否定できない。狙われるのは、防備が行き届かない大都市や、抵抗できない弱い者たちである。ミサイルや戦闘機を増強することも大事ではあるが、テロ攻撃への備えを怠ってはならないのである。
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