徳川宗家の人間が立候補することが話題になっているが、今時徳川でもあるまいと思う。しかも、会津藩主の松平容保公の玄孫だということから、長州人の安倍首相と対決するつもりなのだろうか。徳川家広氏が立憲民主党公認で参議院の静岡選挙区から出馬するようだが、親米派の外交官であった曾祖父の松平恒雄氏が生きていたらば、きっと眉を顰めただろう。学習院から慶応を出て、それからアメリカに留学という経歴は、まさしく上級国民そのものではないだろうか▼東京帝国大学総長であった山川健次郎は、会津松平家を経済的に支えるために『京都守護職始末』の出版をチラつかせて、国から金を引っ張り出した。会津がどれだけ孝明天皇から信頼されたかが書いてあったからだ。御薬園にしても、会津松平家のために会津若松市が購入したのである。戊辰戦争から150年以上が経過した。会津藩士の半数近くが戦死し、残された者たちも悲惨な運命を辿った。武士階級以上に犠牲になったのは、会津の民衆であった。柴五郎が『ある明治人の記録』で語っている通りである▼会津松平家の関係者が国政を目指すことを批判するつもりはないが、よりによって立憲民主党ではあるまい。長州憎しで政治をやるのは、とんでもない見当違いである。我が国の独立が危ぶまれる事態になっているのに、特定アジアの代弁者となっている政党を、どうしてまともな日本人が支持するだろう。
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