ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

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あだち幸さんの気概と誇り。友禅画「不動明王」が世界遺産仁和寺に奉納される

2021-05-30 14:33:10 | 絵画

密教特有の尊格である明王の一尊である不動明王は大日如来の化身とも言われている。

一般的な仏像は慈悲に溢れ優しい顔や姿をしたものが多いが、

不動明王は、悪を絶ち仏道に導くことで救済する役目を担っていることから恐ろしい表情をしている。

怖い様相から「闘士の仏」のように見えるが、

実際は迷いの世界から煩悩を断ち切るように導く仏で慈悲深いものである。

日本では「疫病退散の守護神」としても扱われているようだ。

 

 

その不動明王に、数年前から友禅画家のあだち幸さんが取り組んできた。

横4.8m、縦2.7mの巨大な「あだち幸不動明王」が完成し、6月28日に世界遺産である仁和寺に奉納される。

その式典が午前中金堂で執り行われ、合わせ400年前に制作された5大明王(不動明王も)が公開される。

400年前に制作された不動明王と令和の不動明王を合わせて観られるのは、実に仏画ファンにはたまらない。

 

 

ちなみに友禅画というのは、上質な絹地に染料を重ね、

胡粉(貝殻からできる白い顔料)でぼかしを入れる、あだち幸さんの独特の技法である。

京友禅の手法を基本にした日本画ということになる。

20以上の複雑な工程がある友禅染は分業制で成り立っているが、

あだち幸さんは「蒸し」「水洗い」以外は図案作成から彩色、仕上げまでの作業を一人で行う。

その集大成となる不動明王に友禅画家あだち幸さんの気概と誇りが乗り移っているようだ。

 

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大型作品の迫力に、画家としての60年の形跡が重なり、圧巻 !

2021-03-24 15:21:30 | 絵画

伊藤弘之展の初日に伺った。

西宮市民ギャラリーの2階、3階の広い空間に

伊藤先生の60年の歩みの中から大型作品90点が

展示されていた。

 

一つひとつの作品が迫り語りかけてくるようだ。

大型作品の迫力に、画家としての60年の形跡が重なり

圧巻の光景だった。

 

夙川オアシスロードも開花宣言以来、2分、3分咲きに。

この週末は満開、見ごろである。

桜乱舞にあわせ、市民ギャラリーにもお立ち寄りください。

 

展示作品の一部を画像で紹介します。

 

 

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今週、桜の競演 ! 「伊藤弘之展」が西宮市民ギャラリーで

2021-03-21 14:21:38 | 絵画

毎年、1,700本の桜の晴舞台を見せてくれるのが、

約3キロに及ぶ、ご存じ西宮・夙川沿い。

その中でも、夙川オアシスロードの桜トンネルは圧巻。

今週末にはほぼ満開の “サクラロード” が堪能できるはずです。

それに併せたかのように、オアシスロード沿いにある市民ギャラリーで、

令和1年度の西宮市民文化賞の受賞記念として、

西宮市在住の画家 伊藤弘之先生の画業60年の歩み「伊藤弘之展」が

3月23日から28日まで開催されます。

広がる桜模様のなか、西宮市第二庁舎完成記念として寄贈が決まっている

「北畠の桜」や桜の下で回る幻想的な回転木馬やメリーゴーランドなど

大型作品90点が一堂に展示されます。

 

オアシスロードの桜とあわせ、桜の競演をぜひお楽しみください。

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伊藤若冲の「釈迦三尊像」を楽しむ。

2021-02-03 14:52:38 | 絵画

江戸時代に活躍した絵師、伊藤若冲の人気はいまも衰えるどころか、今年も各地で展覧会が予定されている。

もともと若冲人気に火が付いたのが、2006年に東京国立博物館で開催された、アメリカ人収集家ショー・プライス氏のコレクションから成る「プライスコレクション『若冲と江戸絵画』展」。そして若冲生誕300年を記念した、2016年の東京都美術館の「生誕300年記念 若冲展」において人気が頂点に達した。

さらに、今年のNHKの正月ドラマとして、絵師を取り上げた「ライジング若冲」というタイトルでドラマ化され、若冲役の歌舞伎役者中村七之助と、若冲に寄り添った僧侶役の永山瑛太の共演が話題を呼び、若冲の人物像が浮き彫りにされ身近な存在につながったのは間違いない。

若冲の代表作といえば、やはり「動植綵絵」30幅だろう。多種多様の動植物がさまざまな色彩と形態で表現され、綿密な写生に基づきながら、その画面にはどことなく幻想的な雰囲気が漂う華麗な作品である。また、当時の最高品質の画絹や絵具を惜しみなく使用したため、200年以上たった現在でも保存状態が良く、褪色も少ない。

生誕30年記念の若冲展に、その「動植綵絵」30幅と同時公開されたのが仏画の「釈迦三尊図」。お寺に出向いては模写していた中で、高麗仏画と思われる「釈迦三尊像」に感動し、原図に忠実に模写した作品。ただし、若冲は模写した原本の劣化を防ぐために衣紋線(輪郭線)や色彩のコントラストを強調し装飾的な絵に仕上げた。だから、見てのとおり色彩も鮮やかに残っている。

文殊菩薩像[もんじゅぼさつぞう]獅子に乗る文殊菩薩。                           普賢菩薩像[ふげんぼさつぞう]:6牙の白象に乗る普賢菩薩。

相国寺承天閣美術館 所蔵

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絹谷幸二が描く「京都」。

2017-09-09 14:06:50 | 絵画
いま、京都国立近代美術館で絹谷幸二氏の「色彩とイメージの旅」と題した展覧会が開催されている。

その展覧会を先日、観に行ってきた。とくにオープン前から是非鑑賞したい絵がいくつかあった。
それは、今回の展覧会に出品するために描かれた絵画十数点。絹谷氏は、自作絵画に前に立ち、参加者に「このスペースにある絵画は1年8ヶ月前にこの展覧会が決まってから描きあげたもの」と力説しておられた。

このスペースにある絵画のテーマが「京都」。展覧会場が京都だから、という。とくに、京都の名所7箇所を龍をモチーフに描いている。龍は鴨川の「水」をイメージ、天に昇る龍姿を表現されている。

7枚の右から「光輝龍王二条城」、続いて「満月清水寺龍神飛翔」「飛龍天空大文字」「滝登る鯉転依龍神」「樹上双龍伏見稲荷」「迎臨飛龍金閣寺」「朝陽龍神下山上賀茂神社」という題目がついていた。
みると「日 月 火 水 木 金 土」までの一週間を表している。絵画の下方には、京都のそれぞれの名所が描き込まれている。

その表現方法は想像を絶する、絹谷氏ならではの絵画手法かと思われる。
この7枚の絵画の前に、遠目に、また近目に眺めていると、一見京都から離れていくが、一周して京都に舞い戻ってくる不思議な力を授かる大作だった。



















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