ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

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王安石の心情を六言絶句に。

2018-09-13 16:33:43 | 一茶庵「易社」
今夜(先日)のお軸は、蝉が一匹。
漢文漢詩的には、蝉はこの時期によく登場する題材の一つである。
中国では秋蝉(しゅうせん)といわれ、騒がしい比喩に使われたり、
また地中から出てきたセミは復活の象徴とされている。
玉(ぎょく)などをセミの姿に彫り、復活の装飾品にしている。

今夜のお題は、北宋の政治家であり文人として名を馳せた王安石の
「題西太一宮壁」。漢詩としては珍しい六言絶句である。

柳葉鳴蜩綠暗,
荷花落日紅酣。
三十六陂流水,
白頭想見江南。

非常に高いレベルの詩のようだが、われわれにはその凄さは読みとれない。
訳すならば、

柳葉鳴蜩緑暗
柳の樹でセミが鳴き、柳の葉が色濃く繁り暗くなっている。
つまり、騒がしい批判の声があがっており、鬱陶しい。そんな時期の暗さを表現している。

荷花落日紅酣
蓮の花は、沈もうとする太陽に花が紅に染まっている。
今は絶頂期であるものの、やがて衰頽期を迎える。

三十六陂流水
三十六の湖沼が四方八方に広がって流れている。

白頭想見江南
これを見ると故郷の江南を思い浮かべ故郷を聯想(れんそう)する。
そこで隠棲したいものだと想いを馳せる。

ということになる。
蝉を引用しながら、柳の草色、太陽の赤、流水の水色(茶色?)、
そして白髪の白など、文字で色合わせを楽しんでいる。
人生の終焉には故郷を偲ぶのは人の常なのかもしれない。

中秋にはやはり雁が音があう。





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