先日、嵐山の福田美術館で、伊藤若冲、円山応挙、長沢芦雪の江戸絵画を鑑賞したあと、京都文化博物館で行われていた「仏教美術展」を観に行った。
この美術展は、松久宗琳佛所(京都市中京区)と、同佛所が後進の指導にあたっている宗教芸術院の主催で毎年行われている。松久明琳・宗琳(共に故人)師を師として修行を積んだ一門、並びに芸術院で学ぶ方たちの美術展である。ここ数年、ご縁があって観に行かせていただいている。今回は、友人が仏画をこの芸術院で学び始めたということで誘っていただいた。
伺ったのが、最終日の出展作品の搬出時刻に近かったので人出も多く賑わいでいた。そんな中で、会場の一番奥には宗琳師の小さな金剛力士像や九面観音像などが展示されていた。その横に渡邊勢山と書かれた仏像があった。ご無沙汰しているが、むかしお世話になった大仏師の方である。同師は、その昔、松久佛所で内弟子として修行されていたので、同門の筆頭として仏像が当主の隣に展示されていた。
仏像をしばし眺め、顔をあげると、たまたまその先に勢山師がどなたかと立ち話されていた。タイミングを見計らい声をかけた。お互いに “久しぶり~” が第一声だった。立ち話ではあるが、同世代なので昔話などで花が咲き親交を温めた。
会場には多くの仏像作品と仏画が飾られてあったが、プロ・アマ問わずすべて人の手によって造りだされた貴重な作品である。これらの作品が存在感を示し、仏としての役割を果たす場所がもっと身近にあれば嬉しい。
会場入口のメイン展示
松久宗琳師の金剛力士像
松久宗琳師の九面観音像
渡邊勢山師の観音様
リポート&写真/ 渡邉雄二
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