“秋に色づき実り”からスタートし、一年の暦に移ろう花々が紹介されている袋中菴の「幻の花」シリーズは最終章である “夏に茂り“を迎えた。この夏に茂りは三小節に分けて紹介させていただく。
初夏の祝いごとである「端午の節句」にまつわる花が中心になる。
まず端午の節句の脇床飾りでは、男の子の健やかな成長を祈って、木馬を中心に姫菖蒲が左右にすっきりと生けあげてある。現代的な感覚でアレンジされてある。
端午の節句 脇床飾り
つづいて、端午の節句折形。虎の如く雄々しくあれと願いながらも、いずれの日か出会う撫子は花を添わせ。折り形は、折り目をひと筋くっきりと引き男の子らしさをあらわす。
花は瑠璃虎の尾に撫子とマトリカリア。
端午の節句 折形
これは「封じ花」。暖かくなると、うきうきしてくる。子どもたちがかくれんぼするかの如くガラスケースで椿を一輪とじこめ、春の陽気にすこしいたずらするのも一興。
花は椿 唐子 都忘れ
封じ花
初夏の「祝い花」。杜若は菖蒲とともに、初夏を代表する花。端午の節句の頃は、まだ葉もひ弱く陽射しが透けて見える葉もある。三体にして水際をすっきり轡(くつわ)止めし、桶に生けるのも野趣味である。
祝い花
夏の茂りの第一小節の終わりは「風光る花」。
五月に入ると、緑も生き生きとしてくる。そんな若葉一色の中に、朱塗りの鉢を置くだけで自然の美しさに磨きがかかる。
花は菖蒲の葉 つくも ニューギニアインパチェンス
風光る花
袋中菴「幻の花」シリーズの最終章の第一小節として「端午の節句」にまつわる花を写真集の中からピックアップした。花は季節や催事をあらわす。袋中菴に伝わる挿花「山階御流」の奥義なるものが花を通し見えてくるようである。
リポート&写真/ 渡邉雄二 写真集/ 袋中菴 幻の花
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