鷺が私の前を堂々と横切っていった。私が知る限りでは、鷺は人の気配がすると逃げていく臆病な鳥だと思っていた。
先日、建仁寺の境内を歩いていると、餌を探しまわる鷺を見かけた。人気のいない勅使門と三門の間にある池や松林には餌になる虫などがいるのだろうか、しきりに長い首を前に屈めながら歩いていた。
鷺の動きを追いながらスマホを片手に眺めていた。我が庭のごとく熟知している動きに驚いていると、私の横を堂々と通り抜けていく。思わずスマホのシャッターを切った。シャッター音も気にならないのか、片方の目が私を視ているだけ。
動きを追っていくと、土壁と庭の境にある溝の中に入っていった。下には水が少し溜まっている。そこも貴重な餌場なのだろう。首を下げながら溝の中の餌を探している様子。その後ろ姿を見ていると、左足そして右足と上下に動かす様はスローモーションで見ているかのような、これぞ「抜き足差し足」の動きだ。可愛らしくもあり、滑稽に映った。
人気のない場所で、鷺との無言の問答をしているかのようだった。
リポート&写真 / 渡邉雄二
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