「葺辺(あしべ)には 鶴(たづ)がね鳴きて 湖風(みなとかぜ)寒く吹くらむ 津乎の崎はも」。
淡海(琵琶湖)のヨシは、万葉集に詠われ、
イネ同様に古い時代から日本を代表する植物と言われている。
琵琶湖でも西の湖、近江八幡市あたり湖岸に多く生息している。
調べてみると、平安時代までは「葦(アシ)」と呼ばれ、
その後、アシが「悪し」を連想させ縁起が悪いとして「葦(ヨシ)」となったようである。
ヨシが使われてモノとして真っ先に思いつくのが「すだれ」である。
ヨシの茎で作ったものは「よしず」と呼ばれている。
そして古民家の茅葺屋根にもヨシが使われている。
さらに、神社などの儀式に用いるたいまつにも松の木の芯とヨシが一緒に束ねてある。
また、ヨシの茎は中が空洞になっているため笛などに利用されたという。
古代中国では、楽器である篳篥(ひちりき)の口に当てる部分「舌」にも、
また西洋楽器では「リード」部分にも葦が使われているようである。
なによりも葦が知られていることで有名なのが、
フランスの哲学者 ブレーズ・パスカルが記した「人間は考える葦(アシ)である」という言葉。
これなら聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。
しかし、何で人間が "葦" なんだろうと疑問がわいてくる。
強風が吹くと茎が折れて倒れやすい弱い植物であるのは間違いない。それが、何で? と。
調べてみると、こんな答えだった。
「人間は自然の中でもっとも弱い一本の葦みたいなものだが、
考えるという能力をもった存在だ」と記されていた。実にわかりやすい答えであった。
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