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眼が円相の中心にある「八方にらみ龍」 「龍たずねて―」シリーズⅤ ―妙心寺―

2020-03-21 10:48:44 | 文化想造塾「逸品殿堂」

妙心寺は、1342年に創建された、京都市右京区花園にある臨済宗妙心寺派大本山。日本にある臨済宗寺院約6,000か寺のうち、約3,500か寺を妙心寺派で占め、塔頭は40数か院に及ぶ大寺院である。前回紹介した大徳寺と同様に勅使門から法堂まで南北に一直線に並ぶ建築様式で、禅寺特有の修行を重んじる厳しい禅風の雰囲気が伝わってくる。

他の禅寺大本山同様に天井に龍が描かれている。この龍は、大徳寺の雲龍図を描いた狩野探幽の55歳のときの龍である。大徳寺の龍を描いたのが35歳、20年後の円熟した探幽が8年の歳月をかけ描き上げたとされている。板を鏡のように平滑に張ってある天井に、直径12mの円相の中心に龍の眼を描いている。立つ位置、見る角度によって、龍の表情や動きが変化するように見えるから不思議である。通称「八方にらみの龍」といわれている。

各寺院の雲龍図は絵師によって、また各寺院の歴史や謂れによっても異なるようだ。ご本尊を守護する龍神には変わりないが、妙心寺の龍は眼が中心にあるので広い視野が見通せるようだ。それぞれの龍を楽しんでみてください。


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