ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

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自然の光で見る、墨色の若冲。 

2020-10-26 20:45:25 | 文化想造塾「逸品殿堂」

数年前に、京都 宝蔵寺所蔵の伊藤若冲の「竹に雄鷄図」や長沢芦雪の「拾得図」、鶴亭浄光の「墨蘭図」などの作品を鑑賞する特別講座が、京都市所有の、第3代、9代の総理大臣を歴任した山縣有朋の別荘「無鄰菴」で行われた。

通常、伊藤若冲の絵を鑑賞するとなれば、博物館あるいは美術館がほとんど。蛍光灯などの灯りに照らされている場合が多い中で、その時の講座は、テーマが「日本の絵画を知るー"自然の光で見る若冲"」だった。それに惹かれ参加した。

 床の間に掛けられていたお軸は紅葉の絵。この絵を蛍光灯で見るのと、自然の光の中で見るのと明暗の違いが素人でもはっきりと理解できた。

 続いて本題の若冲の「竹に雄鶏図」を、今回の講座解説をしていただいた福田美術館学芸課長(当時/嵯峨嵐山日本美術研究所)の岡田秀之氏が、「3年前にこの作品が若冲筆のものであると認定されて以来、表具を一式新しいものにし、その初披露となります」と前置きし掛けられた。

若冲が得意としている鶏の中でも、この絵は墨のみで描かれたもの。描き方などを詳しく解説され、とくに尾羽根など墨がどのくらい滲むかという計算をした上で描いている、というのがこの絵の最大のポイントという。

その絵が、自然の光の中でどのように見えるかを楽しむのが今回の主旨。自然の光の中では明暗がよくわかる。それによって鶏の動きが見えてくるよう。

実際、若冲が描いたときは、ランプの灯りか自然光の中である。その灯りの中で墨の濃薄をつけて描いたものだからこそ、自然光で観るのがベストのように思う。若冲の墨色にこだわる想いが伝わってくるようだった。

絵の解説以外にも、表具や保存の仕方など多義にわたる解説も興味深い内容だった。


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