京都・東山七条 大谷廟の花手水。
色とりどりの花が空気も景色も、そして心も彩る。
Higashiyama Hichijo Otani Mausoleum Hanachozu, Kyoto.
Each of the colorful flowers colors the air, the scenery, and the heart.
写真/ 渡邉雄二 Reported & Photos by Yuji Watanabe
京都・東山七条 大谷廟の花手水。
色とりどりの花が空気も景色も、そして心も彩る。
Higashiyama Hichijo Otani Mausoleum Hanachozu, Kyoto.
Each of the colorful flowers colors the air, the scenery, and the heart.
写真/ 渡邉雄二 Reported & Photos by Yuji Watanabe
蓮華王院本堂(三十三間堂)の東側(正面)には本堂に並行して朱雀門と朱色の塀が建てられている。
本堂とその塀の間には、朱色の鐘楼と庭園以外は砂利が敷き詰められ広大な空間が広がっている。
この空間のなかで目を惹いたのが「朱色の塀」。
焦げ茶色の本堂に納められている千体の観音様が輝いて見えるよう
朱色に染まった塀が門から東西に百メートル以上も続いている。
余計なものがない景色は清澄であり、美しいものである。
このお軸を詠むと、老人はのんびりとひとりで酒を傾けながら
爽やかな風を肌に感じながら優遊自適に画や書を楽しむ、といったことが書かれている。
深読みすれば、俗世から離れ、寂しさ切なさの心情が詠みとれる。
詠み解きながら、冷水で淹れた煎茶を楽しむ。一煎目は二つある急須の一つに冷水を適量注ぐ 。
そしてもう一つの急須に移しかえる。茶葉を計り、湯のみをふく。
計った茶葉を空になっている急須に入れる。そこに移しかえた急須の冷水を入れてしばし時間をおく。
茶葉が冷水を吸って葉が開く。飲みごろである。一煎目は爽やかな味が喉を下る。そして二煎目は・・・。
なぜ、こんな面倒なことをするのか、とお思いになるだろう。
そのひと手間が煎茶の味をつくり出すと言っても過言ではない。
器や冷水(また湯)の温度や、間を整えることで茶葉から最良の味が抽出される。
そして、二煎(二回)、三煎(三回)と淹れる。味は、その都度変化する。
まろやかさを楽しむのか、苦み渋さを楽しむのか、その時の心模様にあわせて淹れるのが煎茶の醍醐味である。
夏の暑い夜に、煎茶で舌鼓をうちながら悠々な時が流れた。二煎目からは少し苦み渋さがたっていた。
“ダ〜ルマさん ダ〜ルマさん 睨めっこしましょー うっぷっぷ ! 笑うと負けよ”
子どもころにこう言いながら遊んだことを思い出す。
そのダルマさん(お坊さん)の画が家にあり、たまに床の間に掛けてあった。
初めて見たときは、"コワ~" と思ったことを覚えている。
達磨さんは彫りが深く目に特徴がある。インド人だから顔も髭も濃い。
お釈迦さまの弟子の一人で、中国禅宗の開祖といわれているお坊さんだから
日本の禅寺系の寺院にいくと達磨図をよく見かける。
そんな怖い顔でも描いた人によって表情がさまざま。慈悲に溢れた顔と思えば、そう見える。
深く修行を積んだ方だから凛々しくも見える。
厳しい顔の中に微笑がうかがえる。その違いを見るのが楽しい。
なぜか、見ていても飽きないのが、また不思議である。
写真 / 渡邉雄二 一部の写真/ ネットの達磨画像を転用
数年前に、文人会一茶庵の佃宗匠からいただいた「おいしいお茶 9つの秘伝(佃一輝 著書)」を
読み返す機会があった。著書の冒頭トビラに下記のような言葉が書かれていた。
お茶のうまさは、 葉と湯と間から生まれる。
おいしいお茶をいれるには、茶葉を選び、水とその温度をうかがい、
何よりも、間が大切である。これに良き器が加われば、完璧となる。
「煎茶三絶」ともいうべき、極意と自分で愉しみ、自分を楽しむ「自娯(じご)」の心が、煎茶の味を絶妙にする。
稽古のときに、宗匠がよくいわれた言葉である。
改めて、心に沁みる。
※この記事は2017年6月「心と体のなごみブログ」に掲載したものを加筆し転載
リポート & 写真 / 渡邉雄二 著書 / おいしいお茶9つの秘伝(著者:佃一輝 発行日本放送出版協会)