このお軸を詠むと、老人はのんびりとひとりで酒を傾けながら
爽やかな風を肌に感じながら優遊自適に画や書を楽しむ、といったことが書かれている。
深読みすれば、俗世から離れ、寂しさ切なさの心情が詠みとれる。
詠み解きながら、冷水で淹れた煎茶を楽しむ。一煎目は二つある急須の一つに冷水を適量注ぐ 。
そしてもう一つの急須に移しかえる。茶葉を計り、湯のみをふく。
計った茶葉を空になっている急須に入れる。そこに移しかえた急須の冷水を入れてしばし時間をおく。
茶葉が冷水を吸って葉が開く。飲みごろである。一煎目は爽やかな味が喉を下る。そして二煎目は・・・。
なぜ、こんな面倒なことをするのか、とお思いになるだろう。
そのひと手間が煎茶の味をつくり出すと言っても過言ではない。
器や冷水(また湯)の温度や、間を整えることで茶葉から最良の味が抽出される。
そして、二煎(二回)、三煎(三回)と淹れる。味は、その都度変化する。
まろやかさを楽しむのか、苦み渋さを楽しむのか、その時の心模様にあわせて淹れるのが煎茶の醍醐味である。
夏の暑い夜に、煎茶で舌鼓をうちながら悠々な時が流れた。二煎目からは少し苦み渋さがたっていた。