予想外の一枚
想いをはるかに超えて―
写真 / 渡邉雄二
尾道・文化・紀行 https://asulight0911.com/hiroshima_onomichi/
予想外の一枚
想いをはるかに超えて―
写真 / 渡邉雄二
尾道・文化・紀行 https://asulight0911.com/hiroshima_onomichi/
のれんをくぐってみたいがくぐれない。とくに京屋敷風の建物にかかるのれんは鉄の扉のように重い。予約のお客さんか常連さんしか、気軽に押せない。どうぞ、入いておくれやす!という気軽さとは裏腹にのれんの格式はいまだ高い。
のれんは日本独特の文化で海外ではあまり見たことはない。元々は日除けや風避け、塵除け、人目避け、防寒などの目的で使われていたようだ。鎌倉時代以降には商標などが描かれ、徐々にのれんにメッセージ性を持たせるようになったといわれている。江戸時代ころからお店の屋号や商標が入り、文字を染め抜いて、看板のような役割を果たすようになった。
また、お店の開店時にのれんを出すことで営業していることを示す合図にもなっている。
京都を歩いているとのれんに目が留まってしまう。ついついここはどんなご商売のお店かな? と想像をしてしまうほどである。メッセージ性の強い粋な商標が目立つことも、足止めの理由である。ただし、物見遊山的に中に入ることはほとんどない。
リポート&写真/ 渡邉雄二
11月1日~15日まで京都・有斐斎弘道館などで開催された「京菓子展2022」は、2015年にはじまり今年で8回目。第一回目のテーマが「琳派」、そして「蕪村と若冲」、「源氏物語」、「小倉百人一首」、「万葉集」、「禅ZEN」、「徒然草」と続き、そして今年が「枕草子」。京都とゆかりの深いものを題材に、創意工夫をこらした京菓子と茶席菓子の展覧会。
今年のテーマである「枕草子」は、ご存じのとおり平安時代に清少納言が四季折々の美しい情景を随筆にしたものである。永年、受け継がれてきた日本のよき文化や暮らしをいまのこの時代に、そして未来へと、よき姿で伝え継いでいく橋渡しのような京菓子展覧会だった。
京菓子は、作者の想いを50グラムの立体造形の中に「ものがたり」にして完成させる芸術である。眺めそして食し、作者が創造したものがたりを読み解いていく、文化の香りに包まれた結晶である。
今回、展覧された作品は、全国からプロアマ問わず応募された593点の作品の中から54点が選ばれ、本会場である有斐斎弘道館に37点、特別会場の旧三井家下鴨別邸に17点が並んだ。その中から京菓子デザイン部門では5作品、また茶席菓子実作部門では10作品が受賞した。
受賞作品は次回に紹介するが、今回は、会場の雰囲気を味わっていただく写真をアップした。
「曙」(枕草子より) 植村健士 作
リポート&写真/ 渡邉雄二
今年も阪急うめだ本店のクリスマスバージョンディスプレーが始まった。クリスマスとお正月ディスプレーは見応えのある内容なので紹介している。
今回のクリスマスバージョンは例年と少々趣が異なる。クリスマスの華やかさというよりは、物語性の特徴を生かした迫力を前面に出し子供から大人までが楽しめるディスプレーになっていた。行き交う人たちは足を止めスマホのシャッターを切っていた。
内容は見てのとおり「アリスの冒険物語」。一つのウィンドーの中に絵本の見開きページが立体的に造形されている。七つのウィンドーだから14頁の構成ということになる。北側のウィンドーから物語が始まる。この物語の登場人物は、主人公のアリス・リデルをはじめ、白うさぎ、マッドハッタ―、チェシャ猫、侯爵夫人、トランプの女王とハートなキングの7人で構成されている。
物語は、アリスがウサギを追いかけて不思議な世界に迷い込み、不思議な食べ物を口にして大きくなったり、小さくなったり。不思議な住人たちに振り回され、へんてこりんな出来事に巻き込まれながら、悲しんだり、怒ったり、困ったりするが、持ち前の勇敢さと行動力で困難を乗り越えていくストーリーが表現されている。(ウィンドーの中の解説を参照)
立体的な絵本を覗いているようでもあり、アニメーションを見ているようでもある。アリスが不思議な国に連れて行ってくれるように思える、不思議なディスプレーである。
白うさぎを追いかけて
ようこそ不思議な国へ
不思議なジンジャークッキー
侯爵夫人のクリスマスパーティーは大騒ぎ
マッドのティーパーティーはお菓子でいっぱい
トランプの国はへんてこりん
夢だったの?
リポート&写真/ 渡邉雄二
山肌一面の紅葉は、それは、それは美しい。寺院の庭の彩は日本の美を象徴するかのよう。
また、路地庭の紅葉も日々の中で季節の移ろいを楽しませてくれる。
江戸中期の京都を代表する儒者・皆川淇園(みながわきえん)が創立した学問所だった有斐斎弘道館(京都・上京区)の紅葉の一部を切り取ってみた。京屋敷の晩秋に彩りを添える。
リポート&写真/ 渡邉雄二