(こうぼくの しおりをはさみ ちえこしょう)
作者は、智恵子抄に香木の栞を使っているという。「栞を外し」ならば「これから読み始める」ところだが、この句の場合は「栞をはさみ」だから、丁度本を閉じたところだ。
父光雲と共に彫刻家であったことを思うと、高村光太郎と智恵子は木の香りに包まれて生活していたのだろうし、その中には当然香木もあっただろう。
作者は智恵子抄を閉じ、そういった光太郎と智恵子の生活や智恵子の言葉などに思いを馳せていたのだろう。
この句、「香木」が季語かどうか疑問である。しかし、香水が夏の季語なので同一視してもいいし、季語でないなら無季俳句でいい。つまり、どちらでもいい。
サクラの実