(いわしぶねみすゞのうみをひきにけり)
この句の「みすゞの海」とは、かの「金子みすず」の生まれ育った、山口県長門市仙崎の海。そして、みすずの「大漁」という詩を踏まえての句。「大羽鰮」は、「オオバイワシ」と読む。マイワシの大型のことを言うらしい。以下、その「大漁」という詩。
大漁 金子みすず
朝焼け小焼だ大漁だ
大羽鰮の大漁だ
浜は祭りのようだけど
海の中では何万の
鰮のとむらいするだろう
イワシになってしまったみすゞの、この詩の意味が分かっていても、政治家や官僚、財界や成金のボスになると、誰もが自分の人間性を見失うらしい。
日本中の漁業会社が、この詩の「魚にも人間と同じいのちがある、食べ物には命がある、私達は毎日その命を食べている」という本来の意味を考えたら、獲れるだけ獲って金儲けようなどとは、思わないはずなのだが・・・・・・
「金子みすず」の詩を発見した矢崎節夫館長にも賞賛のエールを送りたい。宮沢賢治を発見した草野心平と同様、その功績は大きい。
尚、イワシに関しては、この句の作者「照れまん」さんのブログ「照れまん君の俳句歳時記」をご覧下さい。詳しい解説があります。
ウツボグサ(靫草)