(にほんめのタバコでなつのこいをけす)
東京の友人から、所属している句会の合同句集をいただいた。友人の話では、主メンバーは某有名私大のOBらしい。毎月、一流ホテルで句会を開催しているとか。この句は、その句会の主宰の句。
秋になって、わくわくして東京で再会してみたら、
「面白くない男だこと、俗物ね。ああ、なんて私は馬鹿なのかしら。何故こんなつまんない男に熱を上げちゃったの? きっと、この夏の澄み切った高原の風と花とワインのせいね」
2本目のタバコを灰皿に押しつけてもみ消すと同時に、彼を振ったのであろう。
タバコは、一本目でも、三本目でもなく、二本目。この時間を長いと見るか、短いと見るか。勿論、短いに決まっている。1本目では余りにも早すぎて男に悪い、3本目では長過ぎて作者のプライドが許さない。それはたぶん、会ってからわずか15分ぐらいのことであったろう・・・・
この句には、幻滅というより、「男を振る女の快感、自己陶酔」がある。だから現代的で都会的でクールで、お洒落なカッコいいオンナの俳句、と言えるかもしれない。
オトコエシ(男郎花)