(りょうしょうや どれもうみむく えきのいす)
「料峭」とは、春風が肌寒く感じられること。埼玉に近い東京に住むこの句の作者は、毎月2,3泊して、作陶と句会参加を兼ねて来遊している。電車で来るからできた句であろう。私など、年に2,3度電車に乗ればいい方だから仕方がないが、一本取られた気分ではある。
目の前が海の駅、夏には海水浴客で賑わうだろう駅も、料峭のこの時期では人っ子一人いず、閑散としている。
さて、ここまで書いてきて、はたと気付いた。ホームには上り下りがあって、ほとんどの椅子が背合わせで対になっているし、改札の外などの椅子も、海に近い駅といっても東海道線などの複線では、必ずしも海向きとは限らない。
そうか、この駅は単線なのだ。海が目の前にあって線路、そしてホームがある。乗降客のうしろは、きっと山だ。
とすると、この辺では、「江の電」が最有力かもしれない。