1974年、「二人でお酒を」がヒットした時、女の方から別れを告げる歌が公然を流れる時代になったのかと、思った。「冬の雲別れ話は女から」なんてことは現実問題としては昔からあっただろうが、公然と歌として流れることに時代を感じたのである。又、それがかっこよく見えたのだから面白い。
だから、この句の「左手の他は許さない」のは、驚くほどのことではない。しかし、左手の他の「ほか」が気になるところ。いわゆる体のどこも、まして心など決して許していない、ということだろう。
しかし、作者の本音としては、そろそろ「ひだり手のほかも許して冬の雲」にしようかと悩んでいるに違いない。
レモン