そちら鍋こちらビビンバお達者で 遊石
内孫も外孫も皆コート着て
冬の窯積み重なりし方眼紙 炎火
故郷は日帰りの距離師走かな
冬服の電車に混じる半ズボン 豊春
光る海小舟漂う年の暮
年の瀬や独り岩風呂指鉄砲 鼓夢
指ほどの間引きし大根の辛みかな
研ぐ磨く掃く拭く洗うも年用意 稱子
冬バラの棘に怒りのあるごとし
皺くちゃの顔が機敏に松手入れ 洋子
まゆみの実窯焚き煙にまかれおり
笑ふ時独りと思ふ冬の夜 章子
平和主義貫く父のインバネス
時間という魔物を食べて毛糸編む 薪
朽野に灰釉厚き窯の肌
忘年会終りて月の青さかな 歩智
時雨るるや高速道の二分間
電飾に犇めく街や年の暮 雲水
年の瀬の犬と歩いているところ