幸せは犬とまどろむ炬燵かな 洋子
古酒の酔いさめやらぬうち帰りゃんせ
尖塔の鴉一声冬来る 豊春
髪青き老婦の笑みや散紅葉
一杯の新酒に明日が絡みつく 一煌
凍星のきらりきらりと峠道
猟銃の一発響く冬の山 炎火
古酒ビールブランデーさえ調味料
さんざめく紅葉と語る人生観 薪
明王は忿怒し山は装えり
手の内に揺れる木洩れ日冬温し 歩智
豊かなる家でなくても柿たわわ
桐一葉シニアホームに友行けり 稱子
客人の今日は来る筈落葉掃く
靄や楷書を彫り陶の文字 鼓夢
時雨やみ車道に流る錦川
置き物の小犬氷雨に打たれけり 余白
たそがれの湯野浜の先山眠る
箱根山紅葉きらめく八十路かな 章子
歳とらぬ夫の遺影に冬りんご
芋食えばおなら出るなり窯の中 雲水
ファミレスのサラダトースト今朝の冬