身にひびく音多かりし冬日かな 一煌
山茶花の白を散り敷く石畳
流れゆくものはあらずよ冬の川 稱子
ひと葉残らず散りゆけり散り敷けり
除夜の鐘明治が近くなりにけり 炎火
太陽を自転公転して師走
除夜の鐘一人で聴く日来るなんて 洋子
初氷穴窯の口開いたまま
港町まるごと除夜の鐘ひびく 章子
除夜の鐘痛いの痛いの飛んでいけ
除夜の鐘過去と未来の躙口 鼓夢
ピアノ曲片面だけの宛名書き
吹きだまり落葉そのまま定休日 歩智
冬空や重なり遊ぶ犬二匹
冬日向傘寿迎えて旅立ちぬ 豊春
手を繋ぐ厚手コートの老夫婦
神主の祝詞が見える今朝の寒 余白
除夜の鐘撞く人々の思い入れ
オウム貝抱き丹沢山塊眠りたり 薪
身に入むや猫の瞳孔刃となりぬ
幸福は仕舞っておいて山眠る 雲水
年用意なんにもしない年用意