(ひとりむし/かいきいわいのしをかこむ)
火取虫とは、夏の灯火に集まって来る蛾などのことである。この句を直訳すると、火取虫が快気祝いの師を囲んでいる。つまり師が火取虫を集める電灯であり、生徒達が火取虫なのである。
時を経てもことあるごとに集い、今日は先生の快気祝いの席である。その集まりの実に和やかな雰囲気が感じられる。御高齢になった今でも慕われ続ける先生の人間性や表情、その昔先生を困らせた生徒達の悪童振りまで想像される。
自分達生徒を火取虫に例えた諧謔が、絶妙な季語の斡旋。
クチナシ(梔子)