一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1393   霜の夜や断捨離を待つ棚の本

2014年12月13日 | 

 現代の若者は、年2,3冊くらいしか本を読まないという。彼等同様私も、新聞は取っていないし、歳時記や辞書を除けば、年2,3冊組である。勿論理由は、パソコンが本に取って代わったからに他ならない。これは、止められない水の流れであろう。あらゆる情報は、大型コンピューターの中に保存されていて、全ての人間はいつでも自由に閲覧・視聴できるようになるに違いない。いや、ほとんどもうなっているのかもしれない。

 断捨離という考え方に従えば、1年以上着ない衣類同様、1年以上読まない本も処分すべきだろう。

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1392  落葉に霜冷めゆく窯のトタン屋根

2014年12月12日 | 

 穴窯の温度測定には、温度計とゼーゲルコーンを使っている。通常、温度計1260度で焚き、ゼーゲルコーンの9番がほぼ倒れる。ところが、今回はそのままでは7番しか倒れず、8番、9番を倒すために1330度まで温度を上げた。

 結論は、温度計が壊れたのである。前回の熱電対に続いて、温度計を新しくしなければならない。ゼーゲルコーンがあるのだから、絶対に必要とは限らないが、いづれにしても明後日は、後の祭の窯出しである。

ヤブコウジ(藪柑子)十両とも

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1391   秋葉遊石俳句集 9

2014年12月11日 | 秋葉遊石俳句集

包丁の其の先ほどの寒さかな

その人は一つの咳の様に消えた

寂かなりしみじみと見る古暦

備えあり愁いも在りて歳の暮

踏まないで忘れな草を踏まないで

夕焼けて婆の影踏む子等の影

照れ臭し少し長めの半ズボン

なでしこの様な少女に径問われ

勝った子が負けた子つつく運動会

会得せり粧わぬ山と粧ふ山

悠久の時を偲びて墓洗ふ

破荷似合う男の背中かな

立冬や下り続ける男坂

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1390   もう飽きた掃いても掃いても枯葉降る   歩智

2014年12月10日 | 

 この数日は、寒さも増し風も強く、確かに落葉の量が半端ではない。東京に住む友人の話によると、自宅に欅の大木があって、この時期同様の事態となる。

 しかし問題は、「毎日、ゴミ袋一杯の落葉が降って来るので、何とかして欲しい」という、近所からの苦情だという。落葉が季節の風情でもなく、焚けば灰ができるし、堆肥にもなるのだが、都会では単なる迷惑なゴミに過ぎないのだ。

 ゴミとは、ビニールやペットボトル、缶やビン、残飯、電気製品などであって、落葉は決してゴミではないと思うのだが、これが通用しない世の中なのだ。

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1389   街師走近くの人が遅刻して

2014年12月09日 | 

師走の語源としては、

1 1年を為し終える 「為果つ(しはつ)」

2 四季の果てる   「四極つ(しはつ)」

3 年が果てる     「年果つ(しはつ)」

そして、既に平安末期の「色葉字類抄」に

4 師匠の僧がお経を揚げるために、東西を馳せる月「師馳す(しはす)」となっており、更に「師走」に変化したそうである。

 いづれにしても、これは日本が旧暦(陰暦、太陰太陽暦)を使っていた江戸時代までの話で、本来は、新暦(太陽暦、グレゴリオ歴)の12月を「師走」と使うべきではない。

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1388   窯火止めて吾朦朧の開戦日

2014年12月08日 | 

(かまびとめて われもうろうの かいせんび)

 南九州市の知覧特攻平和会館には、アメリカ艦船に体当たりして玉砕していった青年達の遺品や遺書、本懐を述べた手紙、戦闘機などがある。

 全体主義、帝国主義、軍国主義の当時の日本で、若者たちは戦争で死ぬことを選ばざるを得なかったし、死を日本国のため、父母兄弟を守るためと思わざるを得なかった。

 日本の特攻隊と同じようなことが、イスラムの自爆テロとなって現存している。これは、戦争同様人間の変えられない性と考えるべきであろうか。

 窯の火を止めた翌日の今日、私の朦朧とした頭が、そんなことを考えたのであります。

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1387   初冬の壺赤々と焚かれをり

2014年12月06日 | 

 年2回の穴窯の、今年最後の窯焚きが始まった。32年で88回目だから、年平均約3回焚き、1回7トンの松薪を燃やすから、年21トン、通算600トンの薪を燃やしたことになる。実に贅沢な話ではある。

 32年間で初めてのことだが、燃料の薪に不自由しなかったが、どういう訳か、今年は来年春に焚く松がない。

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1386   一杯の新酒に明日が絡みつく   一煌

2014年12月05日 | 

たった一杯の新酒で酔っぱらったらしい作者。酒飲みから見たら笑っちゃうけれどもこの句、過去ではなく明日に絡みつかれている、というのが面白い。何故なら、過去に絡まれるのが普通だからである。過去ではなく、明日のことが気になって、素直に酔うに酔えない、可哀想な作者。

 明日になれば、問題が解決してきっとゆっくり酔えるはず。

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1385   トルストイの家出見ていた冬の月   裕幸

2014年12月04日 | 

  レフ・ニコラエヴィチ・トルストイは、ドストエフスキー、ツルゲーネフと並んで19世紀ロシアを代表する文豪、思想家である。

  主な作品に、「戦争と平和」「アンナカレーニナ」「イワンのバカ」「芸術とは何か」「復活」など。

  ロシアの伯爵家に生まれ、モスクワの南に位置するヤースナヤ・ポリャーナの広大な土地と資産を18歳で受け継いだトルストイは、長年召使にかしずかれる贅沢な生活を恥じ、夫人との長年の不和に悩んでいた。

  1910年、82才のトルストイは、ついに家出を決行するが、鉄道で移動中悪寒を感じ、アスターポヴォ駅(現・レフ・トルストイ駅)で下車した。1週間後、11月20日に駅長官舎にて肺炎により死去。葬儀には1万人を超える参列者があったという。

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1384   髪青き老婦の笑みや散紅葉   豊春

2014年12月03日 | 

 髪を青く染める。確かにそんな老婦人を見かけたことがある。その老婦人が笑っている、という。その笑い方は美しく上品かもしれないが、なんとなく不気味な感じがするけれど、作者の意図は?

 季語の「散紅葉」も気になる。というのは、黄・茶・赤など様々な色の紅葉だが、その中に青い紅葉はない。もしかすると、髪全体ではなくある一部、数か所をむらに染めているのではないか・・・・・そんな気がする。

 さて、今朝小鳥の水浴び鉢に、1センチの氷が張った。この冬の初氷である。

フユイチゴ(冬苺)

 

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1383  幸せは犬とまどろむ炬燵かな   洋子

2014年12月02日 | 

(しあわせは いぬとまどろむ こたつかな)

 この世にも、極楽や天国と思えることがらは沢山ある。例えば、一杯のラーメンをすすることにだって、幸せを感じる人には感じるのだ。

 この句のように、誰にも邪魔されず自由に眠れるのは、簡単でありながら誰でもできる、最高の幸福感の一つかもしれない。まして、側に愛犬がいれば尚更である。

 幼い頃から贅沢三昧、やりたい放題に暮らしたような人は、早く幸せを使い果たすかもしれない。貧乏や質素に暮らした方が、晩年の老病死を迎えた時の幸福感は豊かかもしれない。

 

 

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1382  第219回 岩戸句会 11月

2014年12月01日 | 岩戸句会

幸せは犬とまどろむ炬燵かな       洋子

古酒の酔いさめやらぬうち帰りゃんせ

 

尖塔の鴉一声冬来る           豊春

髪青き老婦の笑みや散紅葉

 

一杯の新酒に明日が絡みつく       一煌

凍星のきらりきらりと峠道

 

猟銃の一発響く冬の山          炎火

古酒ビールブランデーさえ調味料

 

さんざめく紅葉と語る人生観       薪

明王は忿怒し山は装えり

 

手の内に揺れる木洩れ日冬温し      歩智

豊かなる家でなくても柿たわわ

     

桐一葉シニアホームに友行けり      稱子

客人の今日は来る筈落葉掃く

 

靄や楷書を彫り陶の文字         鼓夢

時雨やみ車道に流る錦川

 

置き物の小犬氷雨に打たれけり      余白

たそがれの湯野浜の先山眠る

 

箱根山紅葉きらめく八十路かな      章子

歳とらぬ夫の遺影に冬りんご

 

芋食えばおなら出るなり窯の中      雲水

ファミレスのサラダトースト今朝の冬

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