春の天皇賞は、大波乱の決着となりました。
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14番人気ビートブラックがV、オルフェーヴルは惨敗/天皇賞・春(netkeiba.com)
29日、京都競馬場で行われた天皇賞・春(4歳上、GI・芝3200m)は、石橋脩騎手騎乗の14番人気ビートブラックが、道中3番手を大きく離す2番手追走から、4コーナーで先頭に立つと直線もそのまま粘り込み、3番人気トーセンジョーダンに4馬身差をつけて優勝した。勝ちタイムは3分13秒8(良)。さらに、2馬身差の3着に2番人気ウインバリアシオンが入り、圧倒的の1番人気オルフェーヴルは11着に敗れている。前走の阪神大賞典(GII)の逸走で、レースぶりに注目が集まったオルフェーヴル。好スタートから道中は後方3番手を追走。2週目の3コーナーから池添騎手の手綱が動き進出を開始するも、前との距離は縮まらず、直線大外に出すもいつもの末脚は見られず、ヒルノダムールと同着の11着に敗れた。なお、優勝したビートブラック、鞍上の石橋脩騎手ともに初のGI制覇となった。
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今年の天皇賞は、三冠馬オルフェーヴルは断然の1番人気で、勝つのは当然、"どのようなレースで勝つか"に注目が集まりました。テレビ中継も話題はほとんどそれだけで、8割がオルフェーヴルの過去のレースや調教の様子、インタビューで占められていました。一競馬ファンとしては、他の有力馬の情報も知りたかったのですが、ほとんど触れられることが無く、オルフェーヴルの話題作りのためだけの番組になっていたようです。(フジテレビ系の番組はこの傾向が強い)レースでは思い切り良く逃げた2頭のうちの1頭、ビートブラックがディープインパクトの過去最高タイムに迫るパフォーマンスを見せて勝利をものにしました。石橋騎手とこの馬の圧巻の走りはとても素晴らしかった。たとえオルフェーヴルが好調で思い通りのレースをしたとしても、今回のビートブラックには勝てなかったかもしれません。
トーセンジョーダン、ウインバリアシオンも本領発揮で、こちらも持ち味を活かしたレースをしましたが残念ながら届きませんでした。前回の阪神大章典で負けた馬たちも、このレースでは持てる能力を発揮していたと思います。今年の古馬は混戦で、どの馬にも展開次第で勝つチャンスがあることを証明したようなレースでした。
注目の三冠馬オルフェーヴルですが、敗因として馬場の適性、騎手との相性、調教の問題、レースの位置取りなど様々な要因が挙げられています。しかし競馬は、同じくらいの能力を持った多くの馬が競争するものですから、良馬場で体調が良ければ、オルフェーヴルに勝てる馬はいてもおかしくないわけです。このレースでは、オルフェーヴルに問題があったわけではなく、単純に他の馬が強かったということではないかと思います。阪神大章典では、道悪が苦手な馬や、天皇賞を見据えて無理をしなかった馬が、馬場の条件が良い今回は存分に能力を発揮したと見るべきでしょう。こういうレースがあるから、競馬は面白いと思います。
予想に反した大波乱の結果となって、ビートブラックの石橋騎手のインタビューでは、拍手も歓声もほとんど無い気の毒な雰囲気になってしまいました。競馬は何が起こるか判らないと言われます。意外な結果で馬券が紙くずになったとしても、競馬ファンであれば、せめて優勝した騎手や馬には拍手で称えてあげて欲しいものです。また、今回は大惨敗のオルフェーヴルも未だ4歳で、これから何度もチャンスはあるので、今後のレースに期待したいです。