先日、音楽配信サービスを利用している先輩と音楽に聴き方について話す機会があった。彼はアマゾンの定額サービスを利用して音楽を聴いていて、そのラインアップは7000万曲もあるそうだ。自分は沢山の音楽ファイルを持っており、アマゾンは素晴らしいと絶賛していたけれど、それで実際、何を聴いているのかと聞いたら「何でも聴く」という。まあ音楽の聴き方は人それぞれで、他人がとやかく言う筋合いのものではないけれど、「何でも聴く」という回答は「聴いていない」のと同じだ。おそらくタイトルも演奏者も知らずに音楽を聞き流しているのだろう。「聴く」と「聞く」は、意味が違うのだ。もし7000万曲を真面目に「何でも」聴いていたら、時間がいくらあっても足りない。完聴する前に人生が終わってしまう。(所有だけで満足する人も多いけれど)7000万曲のラインアップはアマゾンの自慢であって、契約者が自慢するものではない。誰でも契約すれば受けられるサービスだからだ。
因みに自分も40代の頃までは、クラシックから民謡迄、多くのジャンルの音楽を聞いたけれど、徐々に自分の好みが固定化されて、同じジャンルの音楽ばかり聴くようになった。現在、よく聴いているのはクラシックと欧米の60~90年代POPSやROCKだ。好きな曲を聴きながら歌詞や解説本を読んだり、作曲家、ミュージシャンについて調べたり、エピソードを楽しんだり、ひとつの音楽を聴くとそれについて色々と知りたくなる。「聴く」とはそういう事を含めてのものだと思う。好みが固定化された現状では、ネット配信で色々聞く必要はない。大体、人生の残された時間は限られているのだから、好きな曲を何度も聴くほうが幸せだ。(自分はそう思っている)