Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダリアの花、48

2017-02-22 20:03:02 | 日記

 「いやあ、気に入らないのなら、あの子に別の女の子を探してくるのは止めるよ。」

そう言いながら、蛍さんのご機嫌を取るように男性は言います。

「君はどうやらあの子を気に入っていないと思っていたんだが、その調子ではあの子と同様あの子にぞっこんなんだね。」

いやあ、めでたい、相思相愛、あの子も喜ぶだろう、ちゃんと言ってやらなくちゃね。もう帰ろうか。

そう愛想よく言うと、蛍さんに手を差し伸べるのでした。

 こうご機嫌を取られて、少し機嫌が直った感じの蛍さんでしたが、

自分の絵を侮辱されたという感情は、まだ彼女の中にくすぶっていました。

そこでにこやかな男性に直ぐには返事を返しませんでした。そうして男性に向かって疑問に思っていた問いを発するのでした。

「私の絵って、そんなに良くないですか?」

「えっ、え?」そうです、えっ、絵?です。

『えよえ、私のえ!」そうです、絵よ絵、私の絵です。

 男性と蛍さん、ちゃんと会話が通じたのでしょうか。疑問ですね。二人は暫く沈黙していました。

「私が言った最初のえ、『えっ、え?』のえは何のえかな、分かるかな?」

男性が先に口をききました。蛍さんは目を輝かせて、『えっ、なあに』、なんて言う時の「え」だよ。と答えます。

このくらいは分かるのだと彼女は内心得意でした。男性の方はおや、分かるんだと意外な顔になりました。

一寸いまいましく感じます。

 「分からないと思ったのに、やるねぇ。」

と、口に出して蛍さんに微笑んでみせます。

そうすると蛍さんは、得意げに調子に乗って、お父さんと何時もそういう言葉遊びをしているから分かるんだよ。

と、子供なりに謙遜して言います。

ふむと男性は顎に手を当てて、そんな面も家の教育とは合わないんだなぁと呟きます。

家の子はそんな謙遜めいた事は言わないよ、出来る事は出来るで堂々として誇らしく思い、

その事について多くを語らないよう言ってあるからね。と、ジロジロ蛍さんを見ると、又黙って考え込んでしまうのでした。

 


ダリアの花、47

2017-02-22 11:15:54 | 日記

 と、男性がぶるっと身震いしました。瞬間、男性の背にひやっと冷たいものが走ったのです。

『気のせいかしら?』と男性は思います。

季節は真夏です、寒いわけは無いし、風邪かしら?ついさっき迄はそんな体調の変化も無かったのに。

そう思い、蛍さんには背を向けたまま、後ろは見ないようにして辺りを見回してみます。

『そうね、ここは季節を感じた事が無いから、と言っても冬の気候とも思えないが。』

そんな事を考えていました。と、その時です。また、背筋を一瞬冷たい物が走ります。

 今度はゾワゾワと胸騒ぎさえ覚えました。どうも背中の蛍さんの方が気になります。後ろ手に自分の背中を摩って見ます。

手に触れる物はもちろん何もありません。やっぱり背中に何かある訳じゃないな、男性は思います。

そこで、蛍さんに何か話しかけられるだろう煩わしさを覚悟しながら、そーっと後ろの彼女を振り返ってみます。

 男性がそこで見た物は、目を吊り上げて恨めし気に彼を見つめている、狐の怒りの形相にも似た彼女の顔でした。

その目はゆらゆらと油煙にも似た蝋燭の炎のような揺らめきを呈しています。

 『こんな怖い事になるのね。』

いやあ、子供と雖も女性の恨みは怖い物だ、人から聞いてはいたものの、実際に見るとこんなに怖い物なのか。

男性は実感したのでした。

 一寸彼女に恋のライバルを連れて来ようと思っただけでこの始末。どうして自分の考えていた事が伝わったのかしら?

男性は蛍さんに女性の嫉妬心という鬼の形相を見たのでした。

 


ダリアの花、46

2017-02-22 10:40:30 | 日記

 「君って、可愛いね。」

そう器量もよくない子だと思って、あの子は何処が気に入ったのかと不思議に思っていたが、そうか、

そうかあの子は可愛いのが好みなんだな、そうかそうか。云。

口に出して、蛍さんから見るとずけずけと言いたい放題言われたのですが、

まだ幼い蛍さんにはそう気にしている様子がありません。

 あの子の好みが把握できただけでも儲けものと言えるなと、

男性の方はこの蛍さんとの不毛の会話はもう終えようと決心しました。

それで、くるりと蛍さんに背を向けると知らぬ存ぜぬの体を決め込みました。

 『あの顔に似ていて、もう少しでも頭の方がましな子を見つければ、全て問題解決だな。』

男性は将来の展望が開けたので、気分が一気に軽くなりました。

その後は、蛍さんが男性の背に何か話しかけても、男性の方は全く背を向けたままで何の返事も返してこないのでした。

 蛍さんはまた暇に任せて絵を描こうかと思いました。そこでしゃがみこんで自分の絵を見ると、

先程の男性の言葉が胸に甦って来ました。稚拙という言葉の意味は分かりませんでしたが、

男性の言葉の言い回しから、どうやら自分の絵が良くないと言われたらしいという事は分かりました。

 『下手なのかしら?』

この絵はそんなに悪いのだろうか?しげしげと自分の絵を見つめてみます。

何時も自分が絵を描くと、近所のおばさんや、先生や、クラスのお友達が皆、

蛍ちゃん上手だねと笑顔で言ってくれる絵と、寸分違わぬ絵でした。

しかも、暇つぶしで描いただけに細かく念入りで、何時もより良く描けたと自分でも自負していたくらいの絵でした。

 何が悪いのかしら?と、蛍さんなりに考えてみますが、全く悪い所が思い浮かばない彼女でした。

何だか、傍らの男性が恨めしくなってしまって、その背をじーっと見上げてしまう蛍さんでした。

 


ダリアの花、45

2017-02-22 10:03:31 | 日記

 孫の為とはいえ、孫の為とはいえ、

そう呟きながら、男性はウロウロと左右を行ったり来たり歩き回っていましたが、絶えられない!。

身振りを交えてそう叫んだりしました。

 男性はやがて立ち止まると、意を決したように蛍さんに話し掛けました。

「君ねぇ、さっき遊んでいたお兄さんがいるでしょう。」

ああ、と蛍さんは頷きます。にこやかに、

「源さんだね。大きなお兄さんの事でしょう。」

と言います。合点だと言う風に彼女は満面笑みで笑って見せます。

 男性は気落ちして、やや小さな声になると、まぁあそこもお兄さんなんでしょうが、と言い、

蛍さんの明るい笑顔を見ると、「分かった、ふざけて言っているんだね。」

そうかそうかと、意外と話せる子ではないか、と急にパッと笑顔になりました。

そして、今言った自分の言葉に蛍さんが怪訝そうな顔をすると、やっぱりと、また元のようにどんよりと気持ちが沈むのでした。

 これ以上この子と話す必要があるかしら。男性は自問します。そして、なるべく蛍さんの顔を見ないようにして言います。

「私の言っているのは、ほら、さっき此処へ来る前に遊んでいたお兄さんの事だよ。」

これで漸く蛍さんは何となく男性の言いたいお兄さんの事が誰か分かりました。

 「光という名前のお兄ちゃんの事?」

男性はそうそう、そちらのお兄さんの事だと言います。自分に近いお兄さんというとそっちでしょうと、

いまいましそうに、如何して最初から分からないの、不思議ねぇと、つい口から言葉が出てしまいます。

顔もしかめっ面をしてしまいました。男性にすると憤懣やる方無いというものです。

 蛍さんだって、相手に自分がかなり疎い子だと思われたのだという事は分かります。そこで男性に不満気に申し立てました。

「あの子はお兄ちゃん、小さいもの。源さんは大きいからお兄さんじゃないか。」

「おじさんが最初に言ったのはお兄さん、さんだから、私は源さんのお兄さんだと思ったんだもん。」

唇を尖らせて抗議して、如何にもの不満気な表情を表す蛍さんを見て、思わず男性は目を輝かせて頬を染めました。


練り物

2017-02-22 09:41:11 | 日記

 さつま揚げなどの練り物が好きです。

大根や、卵も好きですが、やはり練り物の方が好きですね。おかずらしいからかもしれません。

逆にこんにゃくはあまり、昔からそう好きではないですね。糸こんにゃくはそれほどではないので、

塊のこんにゃくが食べにくいせいかもしれません。味噌こんにゃくなど、細切りされたものは好きなので、

食べやすさ、柔らかさ、食感が自身の好みに影響を与えているようです。

ウィンナーなども好きです。フランクフルトを入れて、大根やキャベツ、玉ねぎニンジン、昆布などと、

和風ボルシチ風にして、煮込み料理として食べたりします。もちろん、練り辛子は欠かせません。