Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダリアの花、53

2017-02-24 22:10:50 | 日記

 「あなた達、どうしてこんな所に寄り集まっているんです。」

そんな男の人の太い声がして、皆一様に、いやぁ、これはこれは、と苦笑いに近い笑顔を浮かべます。

「遂に大御所さんのお出ましですね。」

そんな事を源が言います。澄もそわそわと、悪戯っぽい瞳をして何処かへ行ってしまいたそうです。

急に辺りをうろうろとうろつき始めました。

 「ご先祖様を供養する日なのよ。どうしてこんな所へ来ているんです。」

蛍さんは声の主を振り返って見てみました。なんとそれはこのお寺のご住職さんだったのです。

 『あれ?お寺さんまでこんな所に。』蛍さんの父は、どうやらこれは自分の夢の世界なのではないかと思い始めました。

私は夢を見ているんだな。これは現実世界の夢の中だと思っていたが、夢の中の夢の世界に迷い込んでいるのだ。

そう思ったりします。『まさかお寺さんまで亡くなるなんて…。』一気に4人も現実世界で亡くなるなんて事、

そんな偶然はありっこ無いと思うのでした。それでも彼は聞いてみます。

 「いやぁ、お寺さん、あんたさんまでまさか亡くなったなんて事はないですよね。」

微笑みながら問いかけて来る蛍さんの父に、住職さんは顔をしかめます。

縁起でもない事を言うんですね、未だ分からないの?、この世界は現実にある世界なんですよ。

本来なら生きている人間は此処には来ないんです。そこへあなたが来ているだけです。

あなた達のご兄弟は如何なっているのかと、源と澄に話しかけて事情を聴きます。

住職さんは2人から、蛍さんの父の此処での取り乱した様子を聞くと、殆ど彼への説明は諦めてしまいました。

 「もう、あなたも、いい加減に戻ってきてください。」

住職さんは今度は光君の祖父の方に言います。

「あなたまで、如何して此処で長居しているんです。お孫さんはもう戻っているんでしょう。」

あちらにもこちらにも人が倒れ込んで、今年のお盆はどうなっているんでしょう。

どうもおかしいと思って此処までやって来てみれば、こんなにご先祖様と子孫が寄り集まってワイワイと、

これから何か始めるつもりなんですか。そう言って、光君の祖父には、

あの子はあの子に呼ばれたんでしょう?落ちていた灯篭があの子の供養の物でしたからなぁ。と言います。


ダリアの花、52

2017-02-24 20:59:56 | 日記

 「お父さん、大丈夫?」

娘にまで心配されて、皆、周りの大人は醜態に近い父の取り乱した様子に困惑を隠せないのでした。

 「おまえ、娘の前で恥ずかしくないのか?」

源が言います。澄も、そうよ兄さん、見えなくてもこの周りには何時でも誰でもいるのよ。

それに、どちらかというと兄さんよりその子の方が早くに此処へ来ていたから、

兄さんよりその子の方が元の世界には戻りにくいのよ。本当ならもうその子は戻れないんだから。

兄さんがその子にくっ付いていたら、兄さんも元の世界には戻れないわよ、

そうね、きっとそうだわ、もう戻れないんだわ、だって兄さん確りくっ付いているんだもの。

とこの澄の茶化す様な言葉に反応して、行き成り放り出すようにパッと蛍さんの手を離した父なのでした。

 クスクス、うふふふ。口元に手を当てて澄が笑います。

「お前、また兄さんを揶揄ったんだな。」

蛍さんの父が子供っぽい目をしてちょっと咎めるように澄に言います。

相変わらず兄の事をコケにして。そう言いながら、久しぶりに昔親しんだ妹の為人に触れると、先立たれた兄は笑顔になりました。

兄として、妹にほのぼのと心安らぐものを感じた蛍さんの父なのでした。思わず目頭が熱くなりました。

 この澄の機転の利いた冗談で、張りつめていた緊張がふっと緩み、蛍さんの父は周囲に気を配る余裕が出て来ました。

漸く彼は静かになり、口を閉じて落ち着いて考えてみました。

考えながら、頬を伝って涙も流れるのですが、自分の死を悲しむ涙と言うよりも、昔感じた兄妹への憐憫の情から来る物のようでした。

 さて、今回自分が亡くなったにしろ何にしろ、自分と同じ境遇の人間が側に2人もいるのです。

『これはこれでそう悪くも無いのかもしれない。』

旅は道連れ世は情け、この2人に合わせて行けば、何にしろ道中うまくやって行けるだろう。そんな事を父は考え付きました。

落ち着いてみると自分は父、蛍は娘、道中ちゃんと父らしく振舞わねば、そう思うと彼は自分を取り戻したのでした。

 「蛍、落ち着くんだぞ。取り乱してはいけないぞ。」

こんな所に来たって、人間落ち着きが大事なんだぞ。そんなアドバイスを娘にするのでした。

 お父さんたら、何を如何したっていうの?

そんな不満そうな蛍さんの声に、彼女の背後から、諭すように彼女の頭にポンと乗っかった大きな手がありました。

その手に結構重みを感じ、蛍さんは自分が叱られているのかなと一瞬思いました。何しろ父に不平を言った直後だったからでした。


余暇時間が増えるのは嬉しい事なのでは

2017-02-24 20:05:49 | 日記

 余暇時間が増えるので皆嬉しいのではないでしょうか。

昔は花の金曜日と言いましたが、その金曜日のアフタースリーとでもいうのでしょうか。

アフターファイブでさえ皆とても喜んでいて、遊ばなければ損だという風潮でした。

時は金なりと言いますから、購買力が増す以前に自分の人生を有効活用したい人が増えるかもしれませんね。

私も自分の人生を楽しみたいです。暇と余裕を持ちたいですね。