「そうだそうだ」悪意に加担せよと逆立った男が現れる。「誰なの? 双子なの?」いいえあれは心の声を代弁しているの。「そんなことはないよ」善意に踏み止まるようにと小奇麗な男が現れる。「三つ子なの?」いいえあれは撮影技術。「同じ人なの? すごいわね」ええ、役者ですから。#twnovel
「少し大きいな」
ギターソロが山頂へ向かうところ
男はボリュームに手を伸ばし
「ロックはあまり好きでもないし」
と付け加える
「こういうところには合わないでしょう」
と付け加える
「やっぱりクラシックですか?」
「そんなの知らないけど」
はあ?
合わないの?
知らないの?
父のことを悪く言われて
僕は落ちていたけれど
鶏肉の上に
延々と注ぎ落ちている
レモンの雫の一滴一滴に
いたたまれなくなって
チャンネルを変えた
夜明けの空のような
ピアノソナタが続いて
「何か物足りないな」
男は言った
それから3分間
モーツァルトは黙り込んだ
ギターソロが山頂へ向かうところ
男はボリュームに手を伸ばし
「ロックはあまり好きでもないし」
と付け加える
「こういうところには合わないでしょう」
と付け加える
「やっぱりクラシックですか?」
「そんなの知らないけど」
はあ?
合わないの?
知らないの?
父のことを悪く言われて
僕は落ちていたけれど
鶏肉の上に
延々と注ぎ落ちている
レモンの雫の一滴一滴に
いたたまれなくなって
チャンネルを変えた
夜明けの空のような
ピアノソナタが続いて
「何か物足りないな」
男は言った
それから3分間
モーツァルトは黙り込んだ