眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ミステリー・カラオケ・ボックス

2020-11-07 10:37:00 | ナノノベル
「もう丸2日になります」
 客は1人で延長を重ねていた。
「来た時は、1時間のプランでした」
「ちょっと、私が見てくるよ」
「店長お願いします」
 店長が到着した部屋には誰もいなかった。歌声だけが部屋に響いている。店長はすぐに社員を呼び寄せた。

「君、本当に電話を入れたのかね」
「はい、そうですが」
「見たまえこれを。この電話、線がつながっていない」
「あー、ケータイからかけたんです」
「何? いったいどこへだね?」
「実家の兄にです」

「お前に兄はいない!」
「試したな偽店長め!」
「逆切れ店員め!」
「ここは15年前になくなっている!」
「お前も知っていたか。俺は誰だ?」
「誰がお前だ! 逆二重スパイが!」
「私がスパイ……」

 その時、一頭のヌーがたずねてきた。

「祭りからはぐれたんだね」
「おばあさま。いらしてたの」
「昨日からずっと歌っているのよ」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする