さあ、お前が来るのを待っていたぞ。
その剣を手にして俺の人生は終わりへ向かうだろう。(復習の始まりだ)ドローンが静かに正確に目標地点に接近する。
「本人確認顔認証実行中。普通の顔確認」
IDもサインも必要ない。俺の証明は俺の顔だけだ。
「怒ってください。ぷんぷんぷん」
それでなくても俺は怒っている。これでどうだ!
「驚いてみせてください。あなたは夕べお化けをみました」
俺だって人並みにお化けは怖いね。おおっ!
「恐れてください。魂を抜かれそうです。疑ってみせてください。あなたはあなたでしょうか。とぼけてみせてください。あなたは大変おとぼけさん」
ああ、忙しい。俺の顔の筋肉はもうへとへとだ。セキュリティー強化のためとはいえ、認証が厳しすぎる。(むしろ不安にもなる)
「微笑んでみせてください」
できるか! 今はそんな状況じゃないんだ。
「最後の認証です。無理にでも微笑んでみせてください」
俺はこれから仇討ちに向かうのだ。怒りを剣先に集中させて最後の決着をつける。微笑みなんて、もうひとかけらも残っていないよ。
「認証実行中。実行中……」
ふふふ。くそーっ。これが限界だ。
「確認できません」
こんな気持ち、お前には関係ないんだ。
「認証失敗! 一旦引き取らせていただきます」
「おう、帰れ! 二度と持ってくるな!」
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