自宅待機中シリーズ内の休憩編として金融市場を話題にするのも変な話だ。それでは休憩にならない気もする。しかしすごい統計が昨夜発表されたので書きたくなった。米国労働省が毎月発表する同国の労働市場統計のことだ。
米国の4月の失業率(速報値、季節調整済み)は大恐慌から第二次世界大戦に至る時代以降では最高水準である14.7%に跳ね上がった(↓のグラフ)。1980年代の初めや金融危機時に失業率が10%を超えたこともあったが、直近は10年以上にわたり下げ続けていた。そしてその傾向が先月で一変した。

【出所:米国労働省】
失業率以上に市場関係者がいつも注意を払って見るのが米国非農業部門就業者数の増減だ。通常ならばその毎月の変化はせいぜい大きくておおよそ±30万人の範囲だし、米国経済はずっと順調に拡大して来たので多くの月でそれはプラスだった。ところが4月のそれはなんとマイナス2,050万人!!(↓のグラフ。速報値、季節調整済み)。

【出所:米国労働省】
米国労働省のホームページで、両者(失業率も非農業部門就業者数の変化についても)の過去のデータが見られる。失業率は第二次世界大戦後すぐからのデータが見られるが、非農業部門就業者数は直近10年しか掲載されていない。どちらも少々扱いづらい形式でデータ提供されており、労働省ってあまりユーザー・フレンドリーでないね。

【出所:米国労働省】
ただし今回の発表は労働省による注釈付きである。
発表されたデータの算出根拠である「失業の定義」が問題となっている。『「ほかの理由」で一時帰休しているが雇用契約は継続中』とした人の数が多い。これを仮に一時解雇の失業者であると分類した場合は、失業率が5%程度上がるらしい。つまり失業率は14.7%ではなく、本当は20%くらいだったかもしれないという話なのだ。思うに、そもそもロックダウンとか外出不可と言われている地域の人が職探しなんて出来るだろうか? 就職しようという意思があってそのための活動をしているのに、就職できない人は失業者と言われる。しかしすでに就職を諦めてしまった人は、働いてなくても失業者とは定義されない。
ということで「失業率は今回発表された数値よりも5%近くは高ったかも」と労働省は注釈(下の文章の最後から5行目)をつけたのだった。

【出所:米国労働省】
しかしそんな大変な状況にもかかわらず、株式市場は明るい。上記の悲惨な労働統計よりも、同じか少し悪い状況が事前にエコノミスト達によって予測されていたから、市場参加者や相場にとっては、発表された数値はすでに織り込み済みなのだ。我らの日経平均株価225種なんて、20,000円を超える水準まで日本時間で金曜日のうちにもどってしまった。でも当然ながらろくに成長しない日本より、成長している国の株式はもっと元気があるし、米国株式市場は当然ながら活況だ。米国株式市場の代表的インデックスS&P500も元気だが、おなじみAGFA + MS(Amazon、Google、facebook、Appleに加えてMicrosoft)なんてもっとすごい。それらのわずか米国の新興5社の株式時価総額合計が、東証1部上場2,000超社の株式時価総額合計を超えてしまったと、本日の日経新聞は伝えている。わずか3年半前には、時価総額で計ってそれら5社は東証1部上場合計の半分に過ぎなかったのにだ。それらの伸長ぶりは、街中の書店が消えたり昔ながらの通販や店舗営業形態のJ.CrewやJ.C.Pennyが破綻したことの裏返しでもある。世の中は常に変化してしまうのだ。
こちらはS&P500の指数で、順調に回復中だ(↓)。とにかく何かプラスの材料をくみとって、上がりたくて仕方がないのだね。

【出所:Yahoo Finance】
しかし①の谷から②の山へ、③の谷から④の山へ、⑤の谷から⑥の山へと、徐々に上昇のエネルギーはなくなっている。今は⑦の谷からの4つ目の回復の波動の途中だ。上昇は控え目になり、弾む力が小さくなっている。1日のうちで始値より終値が高い場合にグラフが白塗りの陽線になるが、その長さがどんどん小さくなっている。
今朝の日経新聞は「経済実態と乖離して株式市場が上げている」と書いているが、その2つは常に乖離しているよね。昨日と今日で経済実態はそんなに変わらないし、変化を感じ取るだけの統計もないのに、株式市場が動く時は、毎日大きく上がったり下がったりを続けていて、常時オーバーシュート状態である。経済統計の発表より株式市場は早読みで、下げるのも早過ぎるし、上げるのも早過ぎるのである。2/19の史上最高値も高過ぎたのだし、1カ月後の3/23の大底も低過ぎたのであって、それらはその日の経済実態を正確に表しているわけじゃない。
(1)経済実態について市場は常にかなり先を読もうとする。
(2)過剰に上へ下へと市場は常にオーバーシュート気味である。
(3)相場はかなり回復したが、今の時点で2/19の史上最高値を超えるのは理屈に合わない。
ということは、先日書いたように、どこかでまた二番底(3/23の谷を一番底とした二番目の大底)に向かう動きがあるはずで、それは経験則から言うと7月末までにあるはずだ。だから「どんどん上がっちまう!」と慌てて今から新たに買うのは絶対やめましょうね。もっと下がってからでいい。
妻がいいところで購入し、今も持っている米国小型株式グロース型のETFなんてすごい勢いだ(↓)。

【出所:Yahoo Finance】
3/23の大底以降の回復過程で、先日つけた高値180.49ドルを超える182.78ドルで昨日は終了した。長くて白い陽線が右端に見えるが、それが昨日の相場だ。
妻はホクホク・ニッコニコ。「チッ、もう一度買うチャンスはなかったぜ」と余裕の発言だ。
では同盟国の国家をどうぞ。
米国の4月の失業率(速報値、季節調整済み)は大恐慌から第二次世界大戦に至る時代以降では最高水準である14.7%に跳ね上がった(↓のグラフ)。1980年代の初めや金融危機時に失業率が10%を超えたこともあったが、直近は10年以上にわたり下げ続けていた。そしてその傾向が先月で一変した。

【出所:米国労働省】
失業率以上に市場関係者がいつも注意を払って見るのが米国非農業部門就業者数の増減だ。通常ならばその毎月の変化はせいぜい大きくておおよそ±30万人の範囲だし、米国経済はずっと順調に拡大して来たので多くの月でそれはプラスだった。ところが4月のそれはなんとマイナス2,050万人!!(↓のグラフ。速報値、季節調整済み)。

【出所:米国労働省】
米国労働省のホームページで、両者(失業率も非農業部門就業者数の変化についても)の過去のデータが見られる。失業率は第二次世界大戦後すぐからのデータが見られるが、非農業部門就業者数は直近10年しか掲載されていない。どちらも少々扱いづらい形式でデータ提供されており、労働省ってあまりユーザー・フレンドリーでないね。

【出所:米国労働省】
ただし今回の発表は労働省による注釈付きである。
発表されたデータの算出根拠である「失業の定義」が問題となっている。『「ほかの理由」で一時帰休しているが雇用契約は継続中』とした人の数が多い。これを仮に一時解雇の失業者であると分類した場合は、失業率が5%程度上がるらしい。つまり失業率は14.7%ではなく、本当は20%くらいだったかもしれないという話なのだ。思うに、そもそもロックダウンとか外出不可と言われている地域の人が職探しなんて出来るだろうか? 就職しようという意思があってそのための活動をしているのに、就職できない人は失業者と言われる。しかしすでに就職を諦めてしまった人は、働いてなくても失業者とは定義されない。
ということで「失業率は今回発表された数値よりも5%近くは高ったかも」と労働省は注釈(下の文章の最後から5行目)をつけたのだった。

【出所:米国労働省】
しかしそんな大変な状況にもかかわらず、株式市場は明るい。上記の悲惨な労働統計よりも、同じか少し悪い状況が事前にエコノミスト達によって予測されていたから、市場参加者や相場にとっては、発表された数値はすでに織り込み済みなのだ。我らの日経平均株価225種なんて、20,000円を超える水準まで日本時間で金曜日のうちにもどってしまった。でも当然ながらろくに成長しない日本より、成長している国の株式はもっと元気があるし、米国株式市場は当然ながら活況だ。米国株式市場の代表的インデックスS&P500も元気だが、おなじみAGFA + MS(Amazon、Google、facebook、Appleに加えてMicrosoft)なんてもっとすごい。それらのわずか米国の新興5社の株式時価総額合計が、東証1部上場2,000超社の株式時価総額合計を超えてしまったと、本日の日経新聞は伝えている。わずか3年半前には、時価総額で計ってそれら5社は東証1部上場合計の半分に過ぎなかったのにだ。それらの伸長ぶりは、街中の書店が消えたり昔ながらの通販や店舗営業形態のJ.CrewやJ.C.Pennyが破綻したことの裏返しでもある。世の中は常に変化してしまうのだ。
こちらはS&P500の指数で、順調に回復中だ(↓)。とにかく何かプラスの材料をくみとって、上がりたくて仕方がないのだね。

【出所:Yahoo Finance】
しかし①の谷から②の山へ、③の谷から④の山へ、⑤の谷から⑥の山へと、徐々に上昇のエネルギーはなくなっている。今は⑦の谷からの4つ目の回復の波動の途中だ。上昇は控え目になり、弾む力が小さくなっている。1日のうちで始値より終値が高い場合にグラフが白塗りの陽線になるが、その長さがどんどん小さくなっている。
今朝の日経新聞は「経済実態と乖離して株式市場が上げている」と書いているが、その2つは常に乖離しているよね。昨日と今日で経済実態はそんなに変わらないし、変化を感じ取るだけの統計もないのに、株式市場が動く時は、毎日大きく上がったり下がったりを続けていて、常時オーバーシュート状態である。経済統計の発表より株式市場は早読みで、下げるのも早過ぎるし、上げるのも早過ぎるのである。2/19の史上最高値も高過ぎたのだし、1カ月後の3/23の大底も低過ぎたのであって、それらはその日の経済実態を正確に表しているわけじゃない。
(1)経済実態について市場は常にかなり先を読もうとする。
(2)過剰に上へ下へと市場は常にオーバーシュート気味である。
(3)相場はかなり回復したが、今の時点で2/19の史上最高値を超えるのは理屈に合わない。
ということは、先日書いたように、どこかでまた二番底(3/23の谷を一番底とした二番目の大底)に向かう動きがあるはずで、それは経験則から言うと7月末までにあるはずだ。だから「どんどん上がっちまう!」と慌てて今から新たに買うのは絶対やめましょうね。もっと下がってからでいい。
妻がいいところで購入し、今も持っている米国小型株式グロース型のETFなんてすごい勢いだ(↓)。

【出所:Yahoo Finance】
3/23の大底以降の回復過程で、先日つけた高値180.49ドルを超える182.78ドルで昨日は終了した。長くて白い陽線が右端に見えるが、それが昨日の相場だ。
妻はホクホク・ニッコニコ。「チッ、もう一度買うチャンスはなかったぜ」と余裕の発言だ。
では同盟国の国家をどうぞ。