我が家では腰壁にもパイン材を用いている。1階全体、階段、そして階段を上がり2階に上がったところまでの壁には、すべてこの腰壁が付いている。前回書いた天井材同様に腰壁のパイン材が与える素材感が優しく、それが私の好みだからだが、実利面では犬対策という意味合いが大きい。壁全体にクロスを用いた家で大型犬を飼うと、犬が通るところは、クロスが汚れ、破れる箇所が出て来る。それを避けるためだ。腰壁だって犬のせいで多少は汚れているのだろうが問題にはならない。また傷もついたりするが、そこは自然素材の良さで、傷も貫禄のうちだ。先鋭な感じのひっかき傷も長い間には木材特有の性格で角がとれ、不思議とこれも気にならなくなる。前の自宅も腰壁だらけだった。
「天井材が全部パインで、腰壁もパイン。自宅内がパインだらけで飽きないのか」と不思議がる人もいるかもしれないが、そうではない。むしろ天井や壁がすべてクロス貼りの場合(多くのマンションがそうだろう)より、変化に富むのである。自宅の中を下から見れば、まず床はテラコッタ調のタイルかオークの床。その上が今問題にしている腰壁なのだが、それは巾木と笠木に挟まれた縦じまのパイン材である。その上にペイントの塗り壁、そして回り縁が来て、一番上がパイン材の天井である。
下の画像はキッチンの壁部分だ。こちらは、腰壁の上がペイントの塗り壁ではなく、タイル(正確に言うとカルチャード・ブリック)である。素材の組み合わせも多様である。
さらに下の画像がペイントの塗り壁、パインの腰壁、そして窓の関係を示している。窓には額縁(正式名称ではない。サッシ建具を取り囲む枠のこと)がグルッと窓を囲むようについている。それは、ペイントの塗り壁からその下の腰壁に食い込むように取り付けられている。それらもまた素材的、デザイン的変化をもたらしている。我が家の窓の額縁はすべて画像のような状態である。またドアやクロゼット等の建具が壁の合間合間に入る。そういうわけで、「壁も天井もパイン材ばかりで室内が退屈にんるのではないか」という設計時点の私の心配は杞憂だった。
因みに腰壁のルックスを下で締める巾木、上に載せる笠木の拡大画像は下のとおりだ。これはパイン材ではない。おそらくヘムロック(外国産でツゲに近い材)であろう。安価な既製品が多く出回っていて入手は簡単だ。窓の額縁も同様だ。
シンプルな板をただ貼っただけの腰壁を希望する人も多いらしいが、我が家は縦に溝がついた腰壁材を用いている。下の画像のとおり、溝はかなり深い。これもまた表情にメリハリを与える。あまりあれこれやっては、今度はデザイン的に逆にうるさくなるが、これくらいなら許されるだろう。こうした一連のデザインすべては、施工を請け負ってくれたブレイス代表の丸山さんに私が指定、依頼したものである。仕上がり具合には非常に満足している。
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