あるアパート開発業者さんと出会った。
本来は工務店だ。アパート建築一筋にウン十年。ガス等特殊なものを除くと主要な建築プロセスを全部自社の職人さん達が対応してしまう。自社から近い、得意とするエリアの状況を熟知しているので、入居者の確保がしやすいロケーションに安い土地があればそれを素早く仕入れ、そこに表面利回りが十分出るようなアパートの建てるプランを、アパート・オーナーに対して提案する。アパート管理を含め賃貸の仲介業も、自社が施工した物件について並行して行っている。オーナーにとって表面利回りが出やすい建て方をしたアパートだから(オーナーがローンを背負った場合もその金利負担が軽い)、「家賃を高くしたい」というオーナーの欲求を抑えてもらいやすい。だから入居者を呼び込みやすい。自社の近所で自社の設計者や職人が知り尽くした物件(当たり前だ。近所に自分で建てたのだから)について、入居者の退出時にはコストを抑えて素早くピカピカにリフォームする。それにより次の入居者を短期間で確保、空室期間を抑制してオーナーを喜ばせる。そうすることで、「家賃を下げてもいいからリフォーム無しで済ませたい」というオーナーのケチ心の目覚めとアパート内外の美観のダウンスパイラルを防ぐことに成功している。
オーナーも喜び、入居者も喜び、アパートが繁栄する! どや?
<以上、そのアパート建築・管理会社会長さんの独演会(聴衆は私ひとり)を私が勝手に解釈、要約したもの>
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そんな会社の会長さんが私に「あんた、ここ買いなはれ! 私のいち押しでっせ!」とおっしゃったのがこの土地だ(上の画像)。実際のところ、会長さん本人は私とは異なり関西弁は話せなさそうだ。因みに私はパーフェクトなバイリンガルで、関西弁と標準語を駆使出来る。
角地である。31坪ほどか。戸建てが多いが、アパートやマンションもちらほら見える住宅街だ。ちょっと行くと企業、工場、ショッピングセンター、スーパー、大学が目白押し。土地の建蔽率は60%、容積率は150%だ。ここに、ゆったりめの1ルーム6戸のアパート(1フロアー2戸で3階建)を建てるプランが進行中。
この土地について私が気になったのは、土地が駅からちょっと遠いことだった。すると会長さんが私におっしゃった。「あんたが駅近物件を好きなら、ほら、ウチにもそんな物件があるわ。例えばこれや(と、会長は別の物件の資料を指す)。これなんてスグそこの駅から徒歩3分や。そやけどあんた、皆があんたみたいに『駅近、駅近』言うもんやから、ここらへんの駅周辺かてアパート激戦区やで。そら、新築時の満室は簡単や。そんでもしばらく経って部屋が空いた時、次の入居者が埋まるまでしばらく時間がかかるかもしれへんで。ワシがこの角地(上の画像)のアパートをあんたに勧めるんはな、それなりにわけがあるねんて。伊達にこの道一筋やあらへんねん。あんたこれ検討したらどないや? これええで、ホンマや」
そうでっか。会長さん、なかなか面白いがな。
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(その業者さんが建築中のアパートの外壁)
確かに「駅近」だけが、入居者にとってのアパート選択のポイントではない。またオーナーからしても、「駅近=アパート激戦区」となっている場合は、アパート購入に触手が動かない。不都合なことに普通は「駅近=高い地価」でもあり、アパート購入費用が跳ね上がるが、比例して家賃が上がる訳ではないため、ますますオーナーにとってメリットがなくなる。
話は変わるが角地は何かと楽である。採光が自由で、通路や進入口を設ける際の自由度が高い。さらに3階建の場合には、法律的に義務付けられる緊急時の避難路の確保が楽である。1方向で接道している場合は、設計上かなりの制約を受けてしまう。件の会長さんは言う「そら楽やでぇ、角地は。ウチが選ぶのは角地が多いわ」
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同社の営業担当ベテラン・レディに、多くの土地とすでに建ちあがっているアパートの実例を短時間で要領よく見せてもらった。建築好きな私としては、こんな楽しい時間は久しぶりだ。しかもアパートばかり。その営業担当者は現場の経験(大工としての! 女性ですよ!!)も豊富。その長い経験から地域のアパート事情、建築構造、建築法規についての幅広い知識をお持ちで、話を聞いていても楽しい。随分勉強になった。
この業者さんが建てたアパートの一例。1階に3室、総2階で6室。黒白赤のコントラストがものすごくヴィヴィッドでシャープなイメージを観る者に与える。中近東諸国の国旗にはこの3色の組み合わせが多く、私は以前からこの配色が好きである。私はカッコいいと思った。ただし私が私の自宅に使いたいと思うイメージではない・・・いけない、いけない。オーナーは自分の好みは排除すべきで、あくまで入居者に「受ける」か否かが重要なのである。
「アパート」と言われイメージする昔風のもの、あるいは現在の大手ハウスメーカーが請け負うアパートともちょっと違う。これはあくまで一例だ。素材、色、形。どんな組み合わせもありうる。
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帰り道。FMS号(以前説明した。「Flat Market Search 号」の略である)を運転しながらアパート経営について復習する。今日もいろいろ学んじゃったなぁ~~~。こうした出会いは有難い。何でもそうだが、調べれば調べるほど、人から意見を聞けば聞くほど、迷宮に入り込むが如くだ。アパート経営はビジネス。全く簡単ではない。Barbourのバッグも健在。Asahiの黒麦茶を初めて飲んだ。これ、おいしいぞ。
家に戻ってからも、メールで追送してもらった図面等資料を見ながら楽しむ。自宅とは異なり自分の好みに照らして判断しても仕方がないことで、かなり複雑だなぁ。
本来は工務店だ。アパート建築一筋にウン十年。ガス等特殊なものを除くと主要な建築プロセスを全部自社の職人さん達が対応してしまう。自社から近い、得意とするエリアの状況を熟知しているので、入居者の確保がしやすいロケーションに安い土地があればそれを素早く仕入れ、そこに表面利回りが十分出るようなアパートの建てるプランを、アパート・オーナーに対して提案する。アパート管理を含め賃貸の仲介業も、自社が施工した物件について並行して行っている。オーナーにとって表面利回りが出やすい建て方をしたアパートだから(オーナーがローンを背負った場合もその金利負担が軽い)、「家賃を高くしたい」というオーナーの欲求を抑えてもらいやすい。だから入居者を呼び込みやすい。自社の近所で自社の設計者や職人が知り尽くした物件(当たり前だ。近所に自分で建てたのだから)について、入居者の退出時にはコストを抑えて素早くピカピカにリフォームする。それにより次の入居者を短期間で確保、空室期間を抑制してオーナーを喜ばせる。そうすることで、「家賃を下げてもいいからリフォーム無しで済ませたい」というオーナーのケチ心の目覚めとアパート内外の美観のダウンスパイラルを防ぐことに成功している。
オーナーも喜び、入居者も喜び、アパートが繁栄する! どや?
<以上、そのアパート建築・管理会社会長さんの独演会(聴衆は私ひとり)を私が勝手に解釈、要約したもの>
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そんな会社の会長さんが私に「あんた、ここ買いなはれ! 私のいち押しでっせ!」とおっしゃったのがこの土地だ(上の画像)。実際のところ、会長さん本人は私とは異なり関西弁は話せなさそうだ。因みに私はパーフェクトなバイリンガルで、関西弁と標準語を駆使出来る。
角地である。31坪ほどか。戸建てが多いが、アパートやマンションもちらほら見える住宅街だ。ちょっと行くと企業、工場、ショッピングセンター、スーパー、大学が目白押し。土地の建蔽率は60%、容積率は150%だ。ここに、ゆったりめの1ルーム6戸のアパート(1フロアー2戸で3階建)を建てるプランが進行中。
この土地について私が気になったのは、土地が駅からちょっと遠いことだった。すると会長さんが私におっしゃった。「あんたが駅近物件を好きなら、ほら、ウチにもそんな物件があるわ。例えばこれや(と、会長は別の物件の資料を指す)。これなんてスグそこの駅から徒歩3分や。そやけどあんた、皆があんたみたいに『駅近、駅近』言うもんやから、ここらへんの駅周辺かてアパート激戦区やで。そら、新築時の満室は簡単や。そんでもしばらく経って部屋が空いた時、次の入居者が埋まるまでしばらく時間がかかるかもしれへんで。ワシがこの角地(上の画像)のアパートをあんたに勧めるんはな、それなりにわけがあるねんて。伊達にこの道一筋やあらへんねん。あんたこれ検討したらどないや? これええで、ホンマや」
そうでっか。会長さん、なかなか面白いがな。
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(その業者さんが建築中のアパートの外壁)
確かに「駅近」だけが、入居者にとってのアパート選択のポイントではない。またオーナーからしても、「駅近=アパート激戦区」となっている場合は、アパート購入に触手が動かない。不都合なことに普通は「駅近=高い地価」でもあり、アパート購入費用が跳ね上がるが、比例して家賃が上がる訳ではないため、ますますオーナーにとってメリットがなくなる。
話は変わるが角地は何かと楽である。採光が自由で、通路や進入口を設ける際の自由度が高い。さらに3階建の場合には、法律的に義務付けられる緊急時の避難路の確保が楽である。1方向で接道している場合は、設計上かなりの制約を受けてしまう。件の会長さんは言う「そら楽やでぇ、角地は。ウチが選ぶのは角地が多いわ」
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同社の営業担当ベテラン・レディに、多くの土地とすでに建ちあがっているアパートの実例を短時間で要領よく見せてもらった。建築好きな私としては、こんな楽しい時間は久しぶりだ。しかもアパートばかり。その営業担当者は現場の経験(大工としての! 女性ですよ!!)も豊富。その長い経験から地域のアパート事情、建築構造、建築法規についての幅広い知識をお持ちで、話を聞いていても楽しい。随分勉強になった。
この業者さんが建てたアパートの一例。1階に3室、総2階で6室。黒白赤のコントラストがものすごくヴィヴィッドでシャープなイメージを観る者に与える。中近東諸国の国旗にはこの3色の組み合わせが多く、私は以前からこの配色が好きである。私はカッコいいと思った。ただし私が私の自宅に使いたいと思うイメージではない・・・いけない、いけない。オーナーは自分の好みは排除すべきで、あくまで入居者に「受ける」か否かが重要なのである。
「アパート」と言われイメージする昔風のもの、あるいは現在の大手ハウスメーカーが請け負うアパートともちょっと違う。これはあくまで一例だ。素材、色、形。どんな組み合わせもありうる。
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帰り道。FMS号(以前説明した。「Flat Market Search 号」の略である)を運転しながらアパート経営について復習する。今日もいろいろ学んじゃったなぁ~~~。こうした出会いは有難い。何でもそうだが、調べれば調べるほど、人から意見を聞けば聞くほど、迷宮に入り込むが如くだ。アパート経営はビジネス。全く簡単ではない。Barbourのバッグも健在。Asahiの黒麦茶を初めて飲んだ。これ、おいしいぞ。
家に戻ってからも、メールで追送してもらった図面等資料を見ながら楽しむ。自宅とは異なり自分の好みに照らして判断しても仕方がないことで、かなり複雑だなぁ。
管理人さんの肥えた眼を納得させるものはなかなか無いのでは?
使われている外装材や内装材。
基礎や基礎高、基礎の中。
配管のまわし方。
なかなか疑問点も多いのでは???
別に肥えた眼を持っているわけではないです
し、見ていてもさっぱりわかりません。
今までゴールデン・リトリバーばかりを
育てていた人が、いきなり業者さんに、
ゾウを100頭、それもアフリカゾウ、インドゾウ、
年取ったの、赤ちゃん、雄雌ごちゃまぜで
持って来て、「これどうです?あれは?」
「あの子、いいでしょう?」なんて
聞かれているようなものです。
さっぱり???
のっぱらひろし工房で一度教えて下さい。
以前、会社の代用社宅として新入社員が住んでいたアパートが安普請で、
結露、音・声の筒抜け、断熱効果無しで、住民が抜けて空き家が目立ってからは、
入居者の層が代わり、社員も出さざるをえなくなりました。
自分が住みたい、住んでもいいと思う建物が満室にするのではないでしょうか?
でもそうするとコストの問題で、土地からだと採算が合わないってことになるのでしょうか。
難しいですね。
なーるほど。
自分が住みたいと思う。がポイントですね。
しかし長年、上下左右に壁を隔てて人が住む
状況を経験していないので、なかなか難しい。
採算も難しいです。新築は高い。
中古や当然安いし、中には土地値のもあるが、
長期保有を考えた時、「やばいんとちゃう?」
ってものもありますからね。
どれだけコストがかかるか、見えない。
ん~~。わかりません。
高額な投資になりますからね・・・
いろんな知識が頭の中に入るとどんどん物件が買えなくなってきますよね。
もっと良い物があるのではないかと思ってしまいます。
でも最後はいろんな知識を踏まえた上のおちゃさんの直感しか無いですね!
アパートを借りる人の第一条件って何ですかね?
新築で駅近でセキュリティーが万全でペットOKでって事でしょうか?
その地域でアパートとして勝ち抜くコンセプトをおちゃさんがつくるというのも有りますね!
女性専用アパートとか!
借主は何処で選ぶか分かりませんからね。
さっぱりです。
どこの市場もそうなんでしょうが、
この市場には「ねじれ」みたいなものが
ありますね。
全般的には余っていて、人気のないものは
空室のままです。中古車市場みたいなもんです
かねえ。
でも街によって、地域によってはひっ迫して
るところもある。
大学のすぐそばなのに、キャンパスの移転で
ワンルームは空室ばかり。でもその横の
ファミリータイプは満室。
同じ街でも駅のそばには空室だらけの古い
アパートが多数あるかと思えば、そこから
ちょっと離れたところには気の利いた
ピカピカのアパートが、交通の便は不便でも
満室になっていたり。
ペットOK。ドッグランつき、枝と石が多数落ちて
いて、波のあるプールをつけたら、
ララちゃんの飼い主が入ってくれそうです。