経済で読み解く日本史、いよいよ明治時代に入った。この本で一番面白かったところは、「日露戦争と資金調達」の当たり。高橋是清がロンドンで資金調達をしていたのは、昔テレビで見て知っていたが、戦争の勝敗、戦いの都度、金利が上下する。最初はロシアの方が金利は安かった、つまり、信頼があったが、日本がどんどん下がってきて、同じほどになった。
戦争は、華々しい場面しか知られていないが、一方では、戦争資金の調達で、金利競争をしていたようだ。先立つものがないと、戦えないからねえ。当時は金本位制だから、金(きん)を買う金(カネ)を調達しないといけない。日本だって、ロシアだって、戦争は物資を多量に使う。特に日本は、何か月も持たない。日露戦争は、経済的にも薄氷の思いで戦った戦争だった。
もう一つ、江戸時代から、「貨幣が多く出回ると、景気が良くなった」と、著者は書くが、ほんとだろうか。ちと怪しい。モノと貨幣の関係で、貨幣が多くなると、相対的にモノが少なくなり、物価が上がり、景気が良くなるという。ある程度モノと貨幣の関係はあるだろうが、しっくりこない。政府が貨幣を多く発行しても、庶民には行きわたらないのでは、現在と同じで大商人が貯め込んでしまうのではなどなど。
この本の著者の上念さんは、確かリフレ派だ。先日の虎ノ門ニュースで言っていたが、日本の物価が上昇しないのは、金融緩和が足りないからだそうだ。あんなに日銀でお金を刷って、国債を購入していても、まだ足りないという。どうも怪しい。それより国がます、財政政策で財政出動して、確実に世の中の仕事を増やし、庶民の懐におカネを増やし、景気を煽って、それを機会に民間が投資を増やす、というほうがずっと腹に落ちる。
ついでに話しておくと、アメリカからMMT理論の提唱者の先生を呼んで、シンポジウムを開催するという話がある。ついては寄付をお願いしたいということで、1万円を寄付した。これで、7月16日、シンポジウム本会場は人数の関係で入れないが、パブリックビューイング会場に呼ばれた。愉しみである。
日本の財務省は緊縮財政を続けている。そのせいで世界で日本だけが成長していない。アベノミクス3本の矢とは言ったが、実は財政出動だけは全くやっていない。日本は、まだまだ財政出動できるし、破綻することもない、経済成長がすべてを解決する。そう信じてるからである。
話は脱線しました。このシリーズは、残り、大正・昭和になります。