前の記事の続きになるのでしょうか。感じたこと思っていることを少し書いておきたいと思います。
前の記事に「虫の目 鳥の目」について触れました。元々「虫の目」でやっていた私がここ数年は「鳥の目」を意識して動いてきました。もちろん、近づいたり離れたりしながら。さらには「対話」をすることで本人の感覚を確認する。そこから次に何をするのかを考える。「見ること」と「考えること」に加えて「実践すること」が重要だと思うのでその部分をどうするのかを考えながら。
で、前の話になるのです。指導する機会を与えてもらう。そこで「客観視」を意識する。「全体の流れ」を重視する。が、それにより「細かい部分」ができなくなる。このバランスのとり方が非常に重要になるのかなという気がしています。先ほども書きましたが「部分的な意識」で走りが改善できる選手もいるし、「別の部分の意識」で結果的に動きが改善される選手がいる。「細かいことをやらない」という指導もあると思いますが、「ポイント」に関しては外せない部分だと思っています。どうすれば「進むようになるか」だと思います。結果的に「速く走れるようになる」ことが大切。動きの精度にこだわりすぎると本来の良さをなくしてしまう。とはいえ、明らかにおかしい動きに関しては修正をしていかなければいけない。
見る頻度が多ければ「細かい部分の徹底」ができます。逆に頻度が低ければ「総合的な部分」を改善していく必要がある。マークの距離は「大丈夫だろう」という先入観があるというのもあります。色々な角度から見ていくことが重要になる。ここは間違いない。スタブロの構えも気が付けば元に戻っていたりします。ハードル選手で県総体後にスタートを修正したのですが、中国大会のレースでは元に戻っていました。腰の位置が高くなり出遅れてしまう。役員の関係でスタートから離れた場所で見ていました。スタートが遅れるなと思っていたら元に戻っていた。やはり徹底して定着させるまでは「バランスよく見ておく」ことが必要なのだと改めて感じていました。今回感じたことも同様なのかなと。
前半マークをやる中で「自然にピッチが上がる」感じが出る。そのまま40↑30→につなげていく。二次加速を見ていてマークの距離が広くなっていたのでここでの中間マークも従来通りの距離に戻してもらいました。私的には「大きく走る」という言葉はあまり使いたくありません。「大きく」という言葉が先走りしてしまい「オーバーストライド」になるからです。それにより膝が開き接地ポジションがずれる。避けたい動きです。中間マークは切り替えをしっかり意識する部分。大きすぎるとやはりフォロースイングが遅れてしまいます。
前半部分の感じがよくなる。が、中間への「つなぎの部分」が上手くいかない。どうしても「腰が残る」感じになります。ここも感覚を確認しながらやってみる。「腰を入れる」という部分。「前に引っ張ってもらう」のか「腰を押される」感じなのか。身体のラインがまっすぐになる感覚がどうすれば身につくのか。この作業は個人的にはかなり楽しい。「腰を入れる」ために「引っ張ってもらう」「腰を押してもらう」というニュアンスではうまく伝わりませんでした。しっくりこない。切り替えに関しては良くなっていますが「軸が作れる」という部分に関しては微妙。
そこで「身体の真下でとらえる」「空き缶を踏み潰す」という表現に変えました。腰が残っていたら上手く「真下でとらえる」ことができません。足だけの動きになります。腰がついてこないのでできない。「腰を進める」「腰を入れる」という表現で「腰」に着目してしまうと意識がそこだけに向かう。結果的には「膝を前に」という部分と変わらなくなるのです。一部にフォーカスされてしまいそれ以外の部分がおろそかになる。「膝を前」「腰を進める」というのが「結果的にそうなる」というタイプの選手には直接的な言葉よりも「鳥の目」のように「全体像」を意識した言葉のほうが良い。
それにより疲れはありますが安定して進めるようになりました。話を聞くとこの日は最初からうまく進まないなという感じがあったようです。その時に「前に進む」という意識が強くなることでさらに悪循環を生み出す。こうなると走れなくなります。それが「マークの幅を変える」ことで自然にピッチが上がっていく。「真下でとらえる」ということで腰が入り次の足が出始める。もちろん、何本か走れたくらいで一気に記録が上がるとは思いません。それが自然にできるようにならなければいけないので。しかし、間違いなくここに「きっかけ」は存在すると思っています。
自分の中で「新しい発見」がたくさんあります。これまでやっていたことが否定されるわけではありませんが、「より良い方法」が存在することが分かる。「過去の経験」だけではなく「何をすればいいか」を常に考えていくとより良い方法が見つかってくるのかなと。私自身、勉強になります。こういう機会を少しずつ与えてもらえることは本当に感謝しかありません。コピーではなく「その場で何が必要か」を見極められる指導ができたらいいなと思っています。
「虫の目 鳥の目」を常に意識する。選手は分かっているという先入観を捨て常に確認をする。「狙い」を明確にして「どの部分にフォーカスするか」を考えることで選手にとって最大のプラスになる部分を選択する。ここは重要だと思います。s年選手と対話することでいろいろなことが見えてきます。力があるからとかではない。「速く走れるようになりたい」という純粋な気持ちは同じだと思います。こういう部分が自分の中でかなり大きい。
まとまりませんが。なんとなくこういう視点を持っておくことが重要だと思っています。記録として。