碓井広義ブログ

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「週刊新潮」で、BSプレミアム『黒部の太陽 特別編』についてコメント

2012年03月23日 | メディアでのコメント・論評

先日、NHK・BSプレミアムで観た映画『黒部の太陽 特別編』。

これが約1時間も短縮したバージョンだった件について、発売中の
「週刊新潮」最新号が記事にしている。

この中で、コメントしています。


「三船敏郎」がカットされた「黒部の太陽」

“幻の超大作ついに登場”とのラテ欄に惹かれて見た方にはお気の毒だったか。3月17日、NHK・BSプレミアムで放送された『黒部の太陽 特別編』である。

「昭和43年の公開で、中学生だった私は、学校の体育館で観たきり。いまだにソフト化もされず、上映されることも裕次郎の法要の時くらい。だから楽しみだったんですけど、特別編どころか不完全版でした」とは上智大学の碓井広義教授(メディア論)だ。

何が不完全かといえば、作品の約1時間がカット。

「石原裕次郎と三船敏郎で共同製作した『黒部の太陽』は、熊井啓監督による3時間以上の大作。黒部ダム建設のためのトンネル工事を描いたもので、裕次郎が死にかけたといわれる破砕帯の出水シーンはさすがにカットしませんが、ダム完成後に三船さんが難工事を振り返りつつトンネルを歩くという重要なラストシーンが消されていた。当時、子供心に非常に印象的だったのですけどね」(同)


なぜ短縮版だったのか。

「上映も放送されることも滅多になく、編集版であっても十分、感動に繋がる作品と考えました」(NHK)

それなら、冒頭で短縮版と断って欲しかったというのは、前出の碓井教授だ。

「10分カットとか、そういうレベルではないのですから、熊井監督にも失礼です」


一方で『黒部の太陽“完全版”』は3月23日の東京国際フォーラムを皮切りに震災チャリティーとして全国で上映会が予定されている。2時間以上を費やした特別“予告編”だったのか?

(週刊新潮 2012.03.29号)




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