『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。
今回は、先週からBSのチャンネル数が増えたこともあり、テレビの多チャンネル化について、考えてみました。
多チャンネル化と選択
昨年七月二四日の地デジ完全移行以来、BS放送を見る時間が多くなった。にぎやかな地上波に疲れた時、BSの海外ドキュメンタリーや、ゆったりとした紀行番組にほっとする。
デジタル化で地上波とBSの垣根が低くなり、簡単なリモコン操作で訪問出来ることも一因だ。
今月一日、BSのチャンネル数がこれまでの二四から三〇に増えた。十七日にはさらにもう一局が加わる。
スポーツ好きには「J SPORTS」、釣りが趣味なら「BS釣りビジョン」等々、“専門店”が並んでいるのがBSの特色だ。
私が気になるのは「BS日本映画専門チャンネル」「イマジカBS」などの映画チャンネル。地上波のようにCMで中断されることなく、映画を楽しむことができる。
これらの局は、加入すれば月額はレンタルビデオ二本分くらい。地上波は、NHK受信料以外は無料とはいえ、見たくないものはタダでも嫌だという視聴者は確実に増えている。
しかし、考えてみれば一日は二十四時間しかなく、家で過ごす時間も限られている。本も読みたいし、メールのやりとりもある。テレビと向き合ってばかりではいられない。
つまり、ますます「選択すること」が重要になってくる。視聴者にとって何よりも貴重な時間を投入する価値のある番組。地上波もBSも最後はそこに行きつく。
(東京新聞 2012.03.07)