碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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BSのチャンネル数が増えて

2012年03月08日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回は、先週からBSのチャンネル数が増えたこともあり、テレビの多チャンネル化について、考えてみました。


多チャンネル化と選択

昨年七月二四日の地デジ完全移行以来、BS放送を見る時間が多くなった。にぎやかな地上波に疲れた時、BSの海外ドキュメンタリーや、ゆったりとした紀行番組にほっとする。

デジタル化で地上波とBSの垣根が低くなり、簡単なリモコン操作で訪問出来ることも一因だ。

今月一日、BSのチャンネル数がこれまでの二四から三〇に増えた。十七日にはさらにもう一局が加わる。

スポーツ好きには「J SPORTS」、釣りが趣味なら「BS釣りビジョン」等々、“専門店”が並んでいるのがBSの特色だ。

私が気になるのは「BS日本映画専門チャンネル」「イマジカBS」などの映画チャンネル。地上波のようにCMで中断されることなく、映画を楽しむことができる。

これらの局は、加入すれば月額はレンタルビデオ二本分くらい。地上波は、NHK受信料以外は無料とはいえ、見たくないものはタダでも嫌だという視聴者は確実に増えている。

しかし、考えてみれば一日は二十四時間しかなく、家で過ごす時間も限られている。本も読みたいし、メールのやりとりもある。テレビと向き合ってばかりではいられない。

つまり、ますます「選択すること」が重要になってくる。視聴者にとって何よりも貴重な時間を投入する価値のある番組。地上波もBSも最後はそこに行きつく。

(東京新聞 2012.03.07)