『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。
今週の掲載分では、最終回を迎えたNHK「中学生日記」について
書きました。
半世紀続いた長寿番組の意味と功績
16日、NHK「中学生日記」が幕を閉じた。「中学生次郎」としてスタートしたのが1962(昭和37)年。タイトルを変えながら今年で半世紀という長寿番組だった。
最終回スペシャルには「中学生群像」時代に生徒役だった竹下景子が校長として出演。「命」と題して、いじめ問題を取り上げていた。
いじめに苦しむ生徒が、「私に相談しろ」と諭す担任教師に向かって叫ぶ。「あんたに俺は救えない」。教師(学校)に出来ることと出来ないこと、その境界を手探りで提示してきたのもこの番組の特徴だ。
担任は悩んだ末、生徒たち全員に「自分の心の醜さと向きあうこと。
そして戦うこと」を訴える。この愚直さ、生真面目さもまた番組が長く続いた要因だと言える。
大人たちはこのドラマで中学生の世界を垣間見る思いがしたかもしれない。しかし実際の中学生はどれだけリアルに感じていただろうか。
そんな制作側と現実との距離が、特に近年は広がっていたように思う。
今どきの中学生を取り巻く問題を、「30分1話完結」の形式で描いて
いくのが難しい時代になっているのだ。
とはいえ50年もの間、それぞれの時代の中学生と真摯に向き合ってきた番組の功績は大きい。
その意味でも4月から始まるという“後継”番組が、民放を意識した
中途半端なバラエティー路線でないといいが・・・。
(日刊ゲンダイ 2012.03.27)