碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

る・ばる「八百屋のお告げ」の熟練個性派女優パワー

2012年03月03日 | 舞台・音楽・アート

東京は一日中、雨でした。

夕方まで大学で仕事をして、高円寺へ。

四谷から高円寺って、快速でわずか11分なのだ。


駅から数分のところにある座・高円寺で、<グループる・ばる>の芝居「八百屋のお告げ」を観た。

<グループる・ばる>は、松金よね子・岡本麗・田岡美也子という3人の女優さんによる演劇ユニットだ。

今回の作品は、ラッパ屋の鈴木聡さんの作。演出は、鈴木裕美さん。
再演です。

このユニットのために書かれたものなので、役柄が各人に完全にフィットしている。


よね子さんは熟年離婚で1人暮らし。子供たちはすでに独立している。

予知というか予言というか、何でも当てちゃう八百屋さんから、「あんた、もうすぐ死んじゃうよ」との “お告げ”があり、信じたよね子さんは落ち込んでしまう。

これ、「八百屋さん」ってところが、いかにも鈴木聡さんだ(笑)。

若い頃からの親友である美也子さん(旦那あり・子供なし)、麗さん(独身・不倫恋愛経験多数)が、よね子さんの家にやってきたことから、「最後の日」を共にすることに・・・・というお話です。

ここに訪問販売の男や、運送会社の男や、昔憧れだった男の息子やらも加わって、「ひとが死ぬということ」「生きるということ」が、笑いと涙の物語となって展開される。


彼女たちの年齢設定が56歳ということで、ほぼ私と同年代。

だから、舞台でのやりとりも、「ああ、わかるなあ」という共感がたくさんあった。

劇中、シュガーの「ウエディング・ベル」が歌われたのも、懐かしいやら、可笑しいやら。

というのは、かつて松金よね子さんに出演してもらったドラマの中で、
この曲が使われていたのだ。

当時も今も、よね子さんが登場するだけで、その場が「よね子空間」(笑)になるから、すごい。

しかも、そこに岡本さん、田岡さんという、これまた強力な女優さんが
ガッチリとからんでくるから、面白くないわけがない。

久しぶりで、そんな“熟練個性派女優パワー”を堪能しました。



           4日(日)まで公演中