照る日曇る日 第2062回
奇妙な詩のような題名が気になって読んでみたが、こういう当世流のポップな表現は彼女の文学とは無縁なものだ。
表層は当世流の軽妙さを取り入れ、文体もそれなりにポップに設定したり、(「例えばその必要もないのに改行して「とも」と書いたり、同じ語形を3回繰り返したり」するものの、川上文学の本質は、昔ながらのニッポンの私小説にどっしりと根を下ろしているのだと思う。
「夜中目が覚めた時に必ず考える」での寿司屋で主人公たちが飲み食いするところなど達者なものだ。
誰よりもホクロが色っぽかった元華族久我美子死す93歳 蝶人