西暦2025年弥生蝶人花鳥風月狂歌三昧 補遺編その1
ある晴れた日に 第746回
果てしなく与太話を続けてる長嶋一茂のテレビを消す
「おべんとうをたべよう。みんなでたべよう。ぼくとケンちゃんとおかあさんとおべんとうをたべよう」
細首に紐まで巻かれた一人ずつ奴隷の証よマイナカード
自分ではやってないのにやったろうと何度も言われて自閉症児は
77年経ってようやく分かったぞ猫に小判豚に真珠の日本国憲法
売れないと絵描きは困るさりながら売れたら売れたでとても悲しい
なにゆえに金もないのに普請を急ぐマイナ国防子育て原発
連日の迷惑メールの地雷原恐る恐る歩む安全安心の獣道
信仰なき我も折節祈るなり我の裡なる我のみのカミ
歌いても歌いてもなお湧き出ずる胸の奥なる小さき泉
誰がなんといおうが嫌いじゃ大嫌い男のくせに化粧するやつ
常緑の楠と言うが春来れば古葉を落として新緑となる
なんにんのロビンフッドが必要か腐敗堕落のこの国に
今日という日の記憶を遺すため新聞記者は必死に記事書く
コラボとはナチ協力者を指す言葉コラボレーションと言わずばなるまい
わが祖父に恋絶ち切られしその女綾部駅まで泣き泣き走る
14年経ちて我らは忘れたりあの震災も原発事故も
発語して1分経てば何もかも忘れるための会話の稽古
いつもなら絶対許さぬ内閣がマスクで命じる自己判断
啓一郎は妻に感謝しているだろう「死刑」を誉めた手紙を読んで
死ぬ死ぬ死ぬ死に死に死んでまた死んで死ぬ死ぬ死んでウクライナガザ
米国のリトルボーイに殺されしヒロシマの民よみな起き上がれ
頭上にはコンクリートの壁ができ泣き叫ぶなりセミの幼虫
ニコンがカメラ生産を止める日が来るレナウンがパンツを作るのを止めたように
源氏池群れずに咲くや赤き蓮
向日葵の末枯れた花に霙降る
初蝉や耳鳴りとは明らかに違う声
喨喨と法螺貝が鳴る朝夷奈峠
法螺貝を吹きつつ歩く太郎冠者
奏者より美貌の美脚をみる演奏会
健三郎、龍一死して春黙す
「広辞苑は第4版でちょうどいい」歌詠みおばはんが言うとった 蝶人