きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

自宅で発電できる太陽光発電 今どきの事情はどうでしょうか

2009-03-11 22:42:06 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
屋根に光るパネル。自宅で発電できる太陽光発電です。日本では個人宅でもっとも普及している自然エネルギーです。発電の際、CO2(二酸化炭素)を出しません。いまどきの太陽光発電事情は―
君塚陽子記者


補助金復活ようやく薄日
 この1月、太陽光発電を住宅に設置するときの国の補助制度が復活しました。新規につける場合、21万~28万円がもらえます(発電容量1キロワットあたり7万円。家庭用3~4キロワットで換算)。申請申し込みは3月末までで、すでに1万件を超えています。
 さらに、住宅でつくった太陽光発電の電気を、電力会社が従来の2倍の価格(1キロワット時50円)で買い取る制度の導入を経済産業省が発表しました(2月24日)。2010年度から導入予定です。
 この「固定価格買い取り制度」(FIT)は自然エネルギー普及のカギ。ドイツはFITで、太陽光発電の電気を電力会社に3倍の価格で20年闇の買い取りを義務付けています。
 日本共産党も以前からFITの導入を求めてきました。(ただし買い取り財源には、現行の「電源開発促進税」などをあて、国民負担にならないよう要求しています)
 かつて日本でも、設置の補助制度を導入していました(94年度~)。その結果、太陽光発電の生産量・導入量とも世界一になりました。ところが05年度に小泉「構造改革」で補助を打ち切ったため、国内市場は一気に冷え込みました。(グラフ)


【太陽光発電累積導入量(単位 万kw)】

【日本における太陽電池出荷量の推移(単位 万kw)】

 こうした状況に批判が高まり、政府は昨年、太陽光発電の導入量の大幅拡大(「低炭素社会づくり行動計画」)を決めました。
 とはいえ、設置費用は平均で250万円程度。国や自治体(東京都など約300自治体が実施)の補助を使っても、初期投資として200万円ほどが必要です。本格的な普及のためには思い切った助成策が不可欠です。
 ちなみに企業が設置するメガソーラーには2分の1補助にひきあげています。



【太陽光発電説明】
①太陽電池・・・パネルに太陽の光をうけて電気を作ります。(お湯ではありません)
②パワーコンディショナー・・・発電した電力(直流)を家庭で使える電力(交流)に変換し、電力の品質をたもちます。
③分電盤・・・各部屋で使えるように送ります。
④電力量計・・・売った量、買った量を表示します。
日本で設置された太陽光発電の設備は8割以上が個人宅(44万戸)です。(NPO法人「太陽光発電所ネットワーク」調べ)

パネル設置で売電 電気料金3割減

野原さん夫妻(左のふたり)。パネルを指差すのは、太陽光発電ネットワーク中部地域交流会世話人の三浦悦夫さん。

 名古屋市の野原敏雄さん(78)は自宅の屋根で発電しています。
訪ねたのは曇りの日。それでも家の中のパネルは0・6~0・7キロワットの発電を表示。
 昼に発電し、使った分以外は、電力会社に売り、夜は逆に電気を買います。買う料金も売る料金も同じ1キロワット時約24円。
 野原さんは、大学で地域経済や環境問題を教えてきました。定年退職にあたり、「言うだけでなく、実際に環境や社会に役立ちたい」と思い、1997年1月、太陽光発電装置(3・96キロワット)をつけました。費用は今よりずっと高く400万円ほど。しかし補助をうけ、実際は200万円でした。
 設置後1年目と前年を比較して驚きました。電気の消費量が1割以上減り、電気代も約3割下がったからです。
 「電気ポットや炊飯器など待機電力を減らしたのが大きかった」と野原さん。家族の病気で暖房は欠かせませんが、節電には気をつけています。
 「自分で電気をつくると、ずいぶん高い電気を買っているんだと実感しますから」
 野原家のCO2排出削減量は、年間約1200キログラム-CO2。石油消費量890リットル分に相当します。木に換算すると約90本のスギを植えたことになります。
 発電を始めて12年。総発電量はまもなく5万キロワット時に。ちょっとした水力発電所の規模です。「ちりもつもればといいますが」と野原さんは感慨深げです。

08年の野原さんの電気料金で見てみると・・・
支出電力会社から買った電気 12万9861円
収入発電して売った電気 3万8309円
グリーン電力(※)の取引額 1万5727円(NPOに寄付)

年間の電気代は7万5825円
※自家消費した電力に環境価値を加味してグリーン証書として販売するもの。


CO2削減と雇用効果
日本共産党の吉井英勝議員
 政府の取り組みは志が小さすぎると思います。設置補助の予算(08年度補正、09年度)は300億円程度で約14万戸規模。しかし、電源開発促進税(おもに原子力発電所を設置するために電気料金に上乗せされている)は、その10倍、約3500億円もあります。
 これを使えば140万戸に設置できる。10年閻続ければ約1400万戸に可能です。
 そうなれば総発電電力量は520億キロワット時。これは実に柏崎刈羽原発の1~7号機すべての発電量を超えます。政府も私の国会質問への答弁で認めています。
 柏崎刈羽原発は地震の影響で止まり、代替の火力発電を使っているため、3千万トンものCO2を排出しています。逆に言えば、住宅に太陽光発電を普及することで3千万トンが削減できるわけです。
 ただし広く普及させるには、補助を充実させ、負担を軽減させることが必要だと思います。「固定価格買い取り制度」を導入し、5年から10年で「もとがとれる」ようにする。節電によって売電が増えれば、それだけCO2排出量の削減と節約効果が生まれ、一石二鳥でしょう。
 設置にあたって、地域の中小企業のネットワークを生かすことも大事です。


ポカポカ効果に、びっくりにゃん


自動車産業追い抜く?
環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長
飯田哲也さん
世界では、自然エネルギーの投・融資が爆発的に成長しでいます。04年約3兆円でしたが、07年には約15兆円と4倍以上に増えました。風力発電で約40万人が雇用されています。株式の時価総額で、自然エネルギーだけを手がける企業で、日産や東芝を上回るところも生まれています。
このマーケットは、あと十数年で500兆円規模の自動車産業を追い抜くでしょう。20世紀は「自動車の世紀」といわれましたが、21世紀は「自然エネルギーの世紀」になるでしよう。
そんななか、日本は取り残されています。
それは自然エネルギーについての政府の位置づけが低いからです。日本の導入目標は、電力量に占める割合として、2014年でたったの1・6%。ドイツは2030年に45%をめざしでいます。
自然エネルギーは、地球温暖化防止、エネルギー自給率の向上に寄与します。分散型なので資源争奪戦を起こさせない平和なエネルギーですし、新産業漂雇用の創出など、さまざまなメリットがあります。
日本政府もEIT導入にとどまらず、自然工ネルギー導入健本格的に取りくむことが必要です。


地域おこしにつながる
太陽光発電による雇用効果は、2020年までに46万人という試算があります。
滋賀県の建設会社「滋賀建機」は、03年から太陽光発電の販売施工を行っています。300戸を超える施工実績。「正しい知識をもってほしい」と体験ショールームも作りました。しかし、国の補助が打ち切られてから低迷状態です。施工には、瓦屋さんや電気工事、足場業などの業者が手分けしてあたるので、地域には仕事や雇用が増えます。
会長の蔭山孝夫さん(写真)は語ります。「地域の中小企業、仕事起しにつながるように政治が動いて欲しい」

【しんぶん赤旗日曜版 2009年3月8日付けより転載】