きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

大震災5年300人調査から 被災者の願い④ 雇用と生業 再建困難浮き彫りに

2016-03-19 12:32:47 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
大震災5年300人調査から 被災者の願い④ 雇用と生業 再建困難浮き彫りに

「運送業をしていたが、津波でトラックも事務所も自宅も全て流された。なんとか再建したかったが、資金難のうえに体をこわしてあきらめた」。宮城県石巻市の仮設住宅に暮らす男性(63)は、無念そうに語りました。
被災者が立ち上がる基盤となるのが雇用と生業(なりわい)の再建です。しかし、震災から5年をへて、さらに厳しい状況になっていることが被災者300人実態調査でも浮き彫りになりました。
農業、漁業、自営業などだった人に再建状況をたずねると「めどがたたない」(72%)、「あまりすすんでいない」(7%)で計79%に。同様の質問では、「めどがたたない」「すすんでいない」という回答が震災1年時から7割以上のままで、生業再建の困難さを物語っています。
再建途上にある自営業者も、仮設店舗から本店舗に移る時期をむかえて岐路に立たされています。


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仮設店舗から本店舗への移設にはさまざまな困難が=岩手県宮古市の仮設店舗「たろちゃんハウス」



店舗再建白紙に
岩手県宮古市の仮設商店街で菓子店を夫と営む田中和氣子さん(59)は、「本店舗再建を昨年10月に着工して今年3月に完成予定で進めていましたが、資材価格の高騰で、いったん建設を白紙に戻しました。売り上げも震災前と比べて大幅に減ってしまっています」と話します。
東京電力福島第1原発事故の被害に苦しむ福島県では、再建困難と答えた人は89%にのぼり、さらに深刻です。
福島県大熊町から会津若松市の仮設住宅に避難している渡部ヒサ子さん(71)は、こう訴えます。「8町歩(約8ヘクタール)の田んぼを耕作していましたが、農業が再建できるめどはたちません。国と東電は古里に戻れるまで賠償に責任をもってほしい」
震災前に給与所得者だった人に「現在、仕事についていますか」とたずねたところ、「(震災前と)同じ仕事」が17%、「転職」が21%で就労している人は41%と半分以下。一方、失業中は29%にのぼります。
福島県浪江町出身で福島市の仮設住宅で生活する高野優太さん(21)は、「震災前は水産加工の会社に勤めていましたが、今は失業しています。子どもが生まれたので、家計は苦しくなっています」と話しました。

転職で給料減り
夫が働いていた水産加工会社が津波で流され倒産したという宮城県女川町の女性(44)も、苦しい胸のうちを語りました。「夫は、やっと転職できたけど、給料は大幅に減り、家計は本当に厳しくなっています。子どものことを考えて自宅を再建したいのですが、消費税も上げられそうだし、先のことを考えるとつらい気持ちになってしまいます」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年3月16日付掲載


仮設店舗「たろちゃんハウス」。宮古市田老だから「たろちゃん」。
本店舗に移るには、移転先で商売が成り立つかもありますが、「建材が高騰している」「先立つものがない」などがあります。