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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

労働講座 きほんのき① 労働契約 労使対等で決定すべき

2017-04-08 17:09:28 | 働く権利・賃金・雇用問題について
労働講座 きほんのき① 労働契約 労使対等で決定すべき

4月から会社に就職したり、子どもを保育所に入れてパートで働く人もたくさんいると思います。これは法的にいえば、労働者が使用者に労働力を提供して賃金を得ることであり、その契約を「労働契約」といいます。

1日何時間、1週何日働くか、休日はいつで、給与がいくらかなど、労働力を提供する条件が労働条件です。
しかし、労働条件は使用者が一方的に決められるものではありません。労働契約法では「労働契約は、労働者および使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、または変更すべきものとする」(3条)と明示しています。
ただし、「対等な立場」といっても、労働者と使用者は実際に対等とはいえません。労働者は使用者に雇用されなければ働くことができないため、使用者から一方的に不利な労働条件を押し付けられかねないからです。
そのため憲法では、労働条件の最低基準を定め(27条)、弱い立場の労働者を守るとともに、労働者に団結権、団体交渉権、争議権を与え(28条)、労働者が労働組合をつくって使用者と実質的に対等の立場になれるよう保障しています。
労働者がこうした権利を手にしたのは、民法の大原則である「契約の自由」に委ねた結果、劣悪な労働条件が押し付けられた歴史と人間らしい働き方を求める労働者のたたかいがあったからです。



全労連の権利手帳(左)と厚労省作成の労働条件通知書のモデル

「条件明示義務」
労働基準法(労基法)では、労働契約を結ぶにあたって、使用者に労働条件明示義務を課し、賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう求めています(15条)。これに違反すると、30万円以下の罰金です。
労働条件のうち契約期間、契約更新、就業場所・業務、労働時間、賃金、退職に関する事項は書面で明示するよう定めています。パート労働者には、昇給や退職手当、賞与の有無も文書で明示しなければなりません(パート労働法6条)。使用者が労働条件を明示した文書をくれないときは、「労働条件通知書をください」と求めましょう。
明示された労働条件と違っていた場合、労働者は労働契約を即座に解除できます(労基法15条)。ハローワークの求人票や募集広告と違っていた場合はどうか。採用前の面接や入社時の話し合いで合意して変更したような特段の事情がなければ、求人時の労働条件が確定したものになると考えられます。

差別的扱い禁止
労働契約にあたっては労働者の権利が侵害されないようルールが定められています。
「不良品-個につき賠償金100円を天引き」といった違約金・賠償予定は禁止(労基法16条)。天引きも、税・社会保険料などを除いて賃金の全額払い違反です。(同24条)
使用者が労働者の国籍や信条、社会的身分を理由に労働条件について差別的な扱いをすることも禁止されています(同3条)。東京電力では、労働者を政治的信条で昇給・昇格差別していましたが、判決で不法行為だと断罪されています。
パートの労働条件は正社員と職務の内容などを考慮して不合理なものであってはいけません。(パート法8条)
正社員と同じ労働をしているパート労働者が是正を求めた丸子警報器事件では、正社員の賃金の8割以下だと公序良俗違反とする判決が出され、確定しています。
働き始めて困ったことや疑問などがあれば労働組合や労働基準監督署など行政の窓口に相談しましょう。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月8日付掲載


労働契約で決められている労働条件の最低基準は労働基準法になります。しかし、あくまで最低基準であって、労使間の闘いでよりよい条件に改善されるべきです。